「ワイプ芸」「リアクション芸」から学ぶ! コミュニケーション活性化のヒント
「ワイプ芸」と「脳のミラーニューロン」
「ワイプ芸」とは、テレビのバラエティー番組などにおいてワイプ内で見せる顔芸のこと。不倫騒動で現在、活動自粛しているタレントの矢口真里さんが得意としていた芸です。
(ワイプ:VTR中の画面に小窓でゲストタレントの映像を表示すること)
なぜ、この「ワイプ芸」をするタレントが重宝されるかと言うと、その表情を見ることで、テレビの視聴者が同様の感情を抱きやすくなるからです。驚きの映像、感動するシーン、笑えるVTRを流しているときに、同時に「ワイプ」の中で映し出されるタレントが、大きなリアクションをしていると、その感情が伝染します。
これはモノマネ細胞と呼ばれる「脳のミラーニューロン」が密接に関わっています。映画やドラマに集中していると、ついつい主人公の感情と自分の感情とがシンクロしてしまうのも、この「ミラーニューロン」のせいです。
人間は、知らず知らずのうちに周囲の人に影響を与え、そして与えられているのです。緊張している人のそばにいると、なぜかこちらも緊張してくるものです。怒っている人の近くにいると、自分までイライラしがちになります。
テレビのスポーツ番組も注意深く観てみましょう。
サッカーなどよりも、特に野球放送がわかりやすいと言われます。(投球の合間ごとに休止が入るからです)放送の最中に、緊張しているファンの顔、期待に胸を膨らませ、両手を合わせているスタンドの観客たちがよくテレビに映し出されます。それらの表情や仕草を目にしていると、テレビ観戦しているこちら側もそのような感情を強くします。
リアクションするときは、常に「感嘆符」を思い浮かべよう
コミュニケーションを考えるうえで、「言語データ」よりも、「非言語データ」のほうに注目します。人の表情ほど、「脳のミラーニューロン」に強い影響を与える「非言語データ」はありません。しかし日本人、東洋人は感情をオモテに出すことが苦手です。コミュニケーション研修のとき、受講者の皆さんに感情表現をわかりやすく表情に出す練習をしてもらうのですが、なかなか難しいようです。コミュニケーションを活性化させたい場合、少しオーバーかな? やり過ぎかな? と思うほどのリアクションをしてみましょう。意外と、それぐらいでちょうど良いのです。
「え! そうなのっ?」
「マジで!」
「すごぉぉぉおい!」
「へぇぇぇぇ~!」
「うわぁぁぁ、やっちゃったんだぁぁぁ!」
リアクションするときは、常に頭の中に感嘆符(エクスクラメーション・マーク)を思い浮かべるのです。特に上司とコミュニケーションするとき、苦手な人と雑談するときに効果を発揮します。何を話せばいいんだろう、と「言語データ」で悩む必要はありません。表情や仕草だけでいいのです。子供たちとコミュニケーションするときも、ぜひ意識したいです。
「ワイプ」に映っているタレントや、出川哲朗さんに代表されるリアクション芸人の方々の表情を研究してみるものいいですね。その表情を目の当たりにするたびに、おびただしい数の脳のニューロン(神経細胞)が発火しています。こちらも同じような感情を芽生させていることに気付くことです。
なぜ、それほど場を盛り上げるトークができなくてもテレビに出続けられるタレントがいるのか。そして矢口真里さんに代わる、次世代の「ワイプ芸タレント」を探す意味でも、「脳のミラーニューロン」の特性を踏まえて観察してみても面白いかもしれません。