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渡辺明名人(37)棋聖戦挑戦者決定戦進出! 藤井聡太棋聖(19)との3年連続五番勝負まであと1勝!

松本博文将棋ライター

 4月14日。東京・将棋会館において第93期ヒューリック杯棋聖戦・本戦準決勝▲渡辺明名人(37歳)-△久保利明九段(46歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は20時52分に終局。結果は211手で渡辺名人の勝ちとなりました。渡辺名人はこれで挑戦者決定戦に進出。あと1勝で藤井聡太棋聖(19歳)への挑戦権を獲得します。

 準決勝もう一局、永瀬拓矢王座(29歳)-佐々木大地六段(26歳)戦は15日におこなわれます。

熱闘211手! 渡辺名人、粘る久保九段を突き放す

 振り駒の結果、先手は渡辺名人。序盤の駆け引きのあと、久保九段は三間飛車に振ります。

 渡辺名人は金銀2枚で銀冠に組み、もう2枚を中段に押し上げていきます。戦いが始まってまずリードを奪ったのは渡辺名人でした。

 対して久保九段はうまくバランスを保ち、角桂交換の駒得にもちこんで追いつきます。千日手になりそうな順も生じ、以下は形勢ほぼ互角の戦いが長く続きました。

 終盤は寄せの教科書の題材になりそうな、きわどい一手争い。勝敗不明の時間が続いたあと、渡辺名人が再び抜け出しました。

 銀冠に収まっていた久保玉は盤面左から右へと追われていきます。きれいな左右挟撃形となり渡辺名人勝勢ですが、そこで簡単に折れないのが久保九段の強さです。

 持ち時間を使い切っての秒読みの中、渡辺名人は誤ることなく、着実に久保玉を寄せ続けます。最後は久保九段の粘りを振り切る形で、211手の大熱戦に終止符を打ちました。

 一昨年、昨年と藤井現棋聖と五番勝負を戦った渡辺名人。藤井棋聖との対戦は分がよくありませんが、他の相手には容易に負けません。3期連続での藤井-渡辺戦実現まで、あと1勝としました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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