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エンジェルスが捕手を欲しがっている!? マーシュと交換に得た若手とスタッシがいるのに…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ウィルマー・フローレス(左)とウィルソン・コントレラス Jul 29, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 セントルイス・カーディナルスは、今シーズン限りで引退した名捕手、ヤディアー・モリーナの後任に、強打の捕手を据える。シカゴ・カブスからFAになったウィルソン・コントレラスを、5年8750万ドル(2023~27年)の契約で迎え入れた。

 セントルイス・ポスト-ディスパッチのデリック・グールドによると、5年8750万ドルの契約は、ロサンゼルス・エンジェルスとヒューストン・アストロズの提示を凌いだという。

 コントレラスを逃した2球団――グールドの記事のとおりだとすれば――のうち、アストロズが捕手を手に入れようとしているのは、理解できる。

 今シーズン、アストロズは、マーティン・マルドナードジェイソン・カストロの捕手2人体制で開幕を迎えた。ワールドシリーズを制した時の2人は、マルドナードとクリスチャン・バスケスだった。カストロは、オフに引退した(「2008年のドラフト全体10位が引退。現役最終年に初のワールドシリーズ優勝を味わう」)。夏のトレードで獲得したバスケスは、FAになった。マルドナードは好守だが、打撃はあまり得意ではない。

 一方、エンジェルスが捕手を欲しがっている理由は、少しわかりにくい。

 今シーズンの開幕前に、エンジェルスは、マックス・スタッシと3年1750万ドル(2022~24年)の延長契約を交わした。この契約には、2025年の球団オプションもついている。行使なら年俸750万ドル、破棄する場合の解約金は50万ドルだ。夏には、ブランドン・マーシュをフィラデルフィア・フィリーズへ放出し、交換にローガン・オホッピーを獲得している。この2人の捕手に加え、マスクをかぶるだけでなく内野の両コーナーも守る、マット・タイスもいる。

 スタッシは、ディフェンスに優れる。のみならず、今シーズンは102試合で9本塁打とOPS.571ながら、2020~21年は計118試合で20本塁打とOPS.784を記録している(これが延長契約につながったと思われる)。オホッピーは、移籍後にAAの29試合で11本のホームランを打ったように、パワーがある。移籍前を含め、今シーズンはAAの104試合で26本塁打とOPS.961。9月下旬にメジャーデビューした。

 ただ、スタッシとオホッピーの2人体制で来シーズンに臨み、スタッシが今シーズンと同じように打てず、ルーキーのオホッピーがメジャーリーグの壁にぶち当たると、捕手は、エンジェルスのウィーク・ポイントになってしまう。

 開幕前後に球団売却が決まり、新オーナーの下、シーズン中に大谷翔平(の代理人)と延長契約を交わそうとしても、チームがまたしても低迷した場合、大谷はオフにFAになる道を選ぶだろう。のみならず、ペリー・ミナシアンGMは、解雇される可能性が高まる(ミナシアンにとっては、こちらを回避するほうが重要かもしれない)。新オーナーは、新たなGM、おそらく、GMあるいは編成責任者として実績のある人物を招き、体制を一新して勝てるチームを作ろうとするのではないだろうか。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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