発想に脱帽! 津軽鉄道の【有料】仮想乗車の旅
4月24日の筆者のニュースで「ゴールデンウィークは自宅に居ながら鉄道の旅を楽しもう!」という記事を書きました。
YAHOO NEWS 【個人】4月24日 「ゴールデンウィークは自宅に居ながら鉄道の旅を楽しもう!」
STAY HOMEのお休み中に自宅に居ながら各地の鉄道の旅をお楽しみいただけるような企画をしている鉄道会社をご紹介させていただきましたが、筆者が社長を務める新潟県の「えちごトキめき鉄道」をはじめ、各地の鉄道では動画のネット配信や、銚子電鉄のようにキャッシュフローを確保するためのなりふり構わぬ物販戦略を始めたところなど、各社さまざまな取り組みをしています。(詳細につきましては上記リンクから記事をご確認ください。)
そんな中で気になっていたのが青森県の津軽鉄道のこと。
津軽鉄道は12月から3月の冬期間に「ストーブ列車」を運転してインバウンドの方々からも大人気のローカル鉄道ですが、実は今回の新型コロナの影響で春節以降のインバウンド観光客が激減。国内旅行の日本人も自粛傾向で、収入の多くを占めるストーブ列車がガラガラで大打撃を受けていたのです。
ストーブ列車のお見送りをする津軽鉄道応援団の皆様(今年2月16日撮影)
筆者が訪ねたこの時もストーブ列車は貸切運行を除くと空席が目立っていましたが、心配になって津軽鉄道のホームページを訪問してみたら2つの記事が目に留まりました。
1:「アマビヱ」ポストカード付 「疫病退散1日フリー乗車券」
以下、津軽鉄道のホームページから全文抜粋
津軽鉄道では伝説の妖怪「アマビエ」をデザインした1日フリー乗車券を早速発売しています。
「アマビエ」の話ってつい最近話題になったような気がしますが、わずかの期間でこのタイミングでの乗車券化。
それも地元のアーティストにご協力いただいて作品を使用させていただくなど、小回りが利く地元密着型の鉄道ならではだと思います。
そして、面白いのが「3密を防ぐため、駅では販売しません。郵送のみのお申込みです。」というところ。
駅で買えない切符というのも津軽鉄道ならではの取り組みかもしれません。
2:仮想乗車~今日の津軽鉄道~
さて、もう一つ興味深いのがこちら。
津軽鉄道の澤田長二郎さんからのメッセージです。(全文抜粋)
こんなメッセージが出ていて、リンクをクリックすると動画が流れます。
プロが撮ったものではなく、スタッフの方がスマホで撮影されたもののようですが、それがまたなんとなく旅気分を掻き立てられるような気がします。
画像からお分かりいただけますが、津軽鉄道沿線はやっと今頃桜の季節を迎えているんですね。
でも、これだけならえちごトキめき鉄道や小湊鉄道でネット配信しているのと同じです。
ところが、筆者が驚いたのは澤田社長のメッセージの下に書かれている【津軽鉄道からのお願い】。
内容はこうです。(全文抜粋)
なんとなんと、この動画配信にご満足いただけた方は「運賃」を寄付していただけないか、というお願いなのです。
確かに乗ったことになると言われればそうですが、この発想力はトキめき鉄道にはなかったなあと、感心しきり。
早速津軽鉄道さんに「面白いこと考えましたねえ。」と連絡をしたところ、ご担当者から次のようなお返事が。
「実は、冬の間の頼りのストーブ列車が今年は5割減。一般列車も4月は6割以上の減少で、本当にピンチなんです。」
とのこと。
4月は新入学の時期で、高校生の皆さんが通学定期を購入される鉄道会社にとっては書き入れ時。
その時期が学校の休校で売り上げ激減。せっかく買っていただいた定期券が払い戻しされたりと、キャッシュフローが本当に厳しいのです。
でも、さすが観光鉄道の横綱的存在の津軽鉄道はただ者ではありません。
スタッフが撮った動画を配信して、それで乗車運賃を寄付していただこうとは、アッパレですね。
何だか思わず寄付したくなるような、そんな温かな気持ちになれるメッセージです。
こういう会社にはぜひ頑張って残っていただきたいなあと思いませんか。
昨年夏、特別運行のストーブ列車の中でご挨拶する澤田長二郎社長。御年80歳の現役社長さんです。
その澤田社長さんが挨拶するとファンの皆さんがカメラを向けます。
これだけ大人気の津軽鉄道なんです。
新型コロナの騒動でなし崩し的にいろいろなものが消えていくのは防がなければなりません。
各地で頑張っているローカル線を皆さん、ぜひ応援していただきたいと筆者は考えます。
田舎のローカル線は日本の文化です。
その文化を後世に伝えるのが私たちの使命ではないでしょうか。
頑張っているローカル線にご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
来年もこの景色を見ることができるように、皆さん頑張りましょう。
※本文中に使用した写真は特にお断りのあるものを除き、筆者撮影です。