今日から東京ディズニーランド新パレード 有料席で収益1回550万円の新たな試み
東京ディズニーランドで、スペシャルイベントシリーズ「ディズニー・パルパルーザ」が今日から6月30日まで開催される。第1弾と第2弾に分けられた今までにない取り組みである。第1弾は、ミニーを主役にした「ミニーのファンダーランド」が3月19日(火)まで。第2弾は、4月9日(火)からの予定である。この新たな試みについて、ディズニーテーマパークに詳しいフリーライターの林田周也さんに分析していただいた結果を紹介する。
ミニーのファンダーランドは、パレード「ミニー@ファンダーランド」を公演している。東京ディズニーリゾートは例年1月、2月は入園者数が減る閑散期であり、パレード内容もハロウィーンやクリスマスに対して比較的小規模になりやすい。「ミニー@ファンダーランド」のフロート(山車)は6台で、ミニー、ミッキー、ドナルド、グーフィー、プルートほか約60名が出演する。通常のパレードに比べて、キャラクターは少なく、フロートの大きさも小ぶりである。
公演エリアに大きな特徴
通常のパレードは、ファンタジーランドを出発し、シンデレラ城前のプラザを通り、トゥーンタウンへと抜けていく(図1)。パレード中に3回の停止があり、ショーが行われる。「ミニー@ファンダーランド」の大きな特徴は、2回目の停止場所となるプラザを1周することである。通常のパレードが通らないキャッスル・フォアコートにもパレードが通り、停止するのである。
図1 「ミニー@ファンダーランド」のパレードルート
有料鑑賞チケットの成功を受けたエリア拡大
キャッスル・フォアコートのエリアのほとんどは、「ディズニー・プレミアアクセス」と「東京ディズニーリゾート・バケーションパッケージ」用の鑑賞エリアとして設定されている(図2)。バケーションパッケージは、宿泊を含めたパッケージプランで、パレード鑑賞券が付いたプランが販売されている。
ディズニー・プレミアアクセスは、2022年5月に初導入された有料チケットで、当初は一部の人気アトラクションが対象であった。パークチケットとは別に料金を払うことで、従来のディズニー・ファストパスのように短い待ち時間でアトラクションを体験できる。同年11月からは、一部のショーも対象に追加され、有料で専用のショー鑑賞エリアを確保できるようになった。
2023年4月からは東京ディズニーランドのパレードにもディズニー・プレミアアクセスが導入され、長時間待たなくてもショーが良い場所で鑑賞できる魅力がある。パレードの鑑賞券は1人2,500円である。
図2 「ミニー@ファンダーランド」の有料鑑賞エリア
図3 「ディズニー・クリスマス・ストーリーズ」の有料鑑賞エリア
1公演で550万円以上の収益
「ミニー@ファンダーランド」は、2023年のクリスマスのパレード「ディズニー・クリスマス・ストーリーズ」の鑑賞エリアと比較すると、ファンタジーランドの鑑賞エリアがなくなる代わりに、キャッスル・フォアコートの鑑賞エリアが大きく拡大している(図3)。
また、より高い料金設定となっているバケーションパッケージの鑑賞エリアが、ディズニー・プレミアアクセスより良い場所に設定されているのも特徴といえる。
キャッスル・フォアコートの有料鑑賞エリアを数えると、1,279人分の座席が用意されていた(1月9日イベントのプレビュー時)。他エリアの有料鑑賞席も加えると2,208人分の座席があり、キャッスル・フォアコートを加えると従来の倍ほどの有料鑑賞エリアを確保している。ディズニー・プレミアアクセスは1人2,500円で、バケーションパッケージはそれ以上の価格となるため、全席が売れると1公演あたり552万円以上の収益となる。
新たに1,200人分もの有料鑑賞エリアを用意しようとすると、そのぶん他のゲストの鑑賞エリアが減ってしまい、満足度の低下につながりかねないという問題がある。「ミニー@ファンダーランド」は、パレードの停止範囲を広げ、広げた部分を有料エリアにすることで、一般ゲストの鑑賞エリアを減らさないで、有料エリアを増やし収益を増やすことができる。
ディズニー・プレミアアクセスの成功を受けた実験的なパレード形式と言える。
単価アップやショー規模拡大に繋がるか
有料鑑賞エリアの拡大は、パーク側にとってゲスト1人当たりの単価上昇に寄与するだけでなく、開催エリアが拡大することでパレード自体の規模が大きくなることは一般ゲストも恩恵が得られる。キャッスル・フォアコートも使用したパレードは過去にも何度か上演されているが、今回の有料エリア拡大の施策が成功すれば、東京ディズニーランドのパレードのスタイルが大きく変わる可能性がある。