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ダッフィー&フレンズの人気偏り 新グッズ発売で解消なるか

山口有次桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授
出所:東京ディズニーリゾート公式Webサイト

 東京ディズニーリゾートで、1月15日から3月末まで「ダッフィー&フレンズのハートフェルト・ストロベリーギフト」が開催され、スペシャルグッズが販売される。

 先の記事「ディズニーテーマパークのカチューシャに不満? 海外パークのような派手なデザインを好む?」に続き、毎年半期に1回行われている複数大学合同のディズニー研究発表会(今回は4大学が参加)が12月16日に開催され、その中で「ダッフィー&フレンズ」に関する調査結果が発表された。そこで、同発表会に発足初期から参加し、ディズニーテーマパークに詳しいフリーライターの林田周也さんにその結果を紹介していただく。

ダッフィー&フレンズ7人の人気をアンケート調査

 東京ディズニーシーの人気キャラクター、ダッフィーは2005年に初登場。段々とダッフィーの友達としてキャラクターが増えていき、現在は「ダッフィー&フレンズ」として、ダッフィー、シェリーメイ、ジェラトーニ、ステラ・ルー、クッキー・アン、オル・メル、リーナ・ベルの7人が登場している。

 東京ディズニーリゾートの公式HPには、各キャラクターが紹介されている。ダッフィーとシェリーメイを除き、キャラクターごとに特技や動物を分けて設定されている。

  1. ダッフィー:ミニーがミッキーのためにつくったテディベア。
  2. シェリーメイ:ミニーがダッフィーの友だちとしてつくったテディベア。
  3. ジェラトーニ:絵を描くことが大好きなネコの子。
  4. ステラ・ルー:ダンサーになることを夢見ているうさぎの子。
  5. クッキー・アン:好奇心いっぱいのいぬの子。
  6. オル・メル:音楽が大好きなカメの子。
  7. リーナ・ベル:謎を解くのが大好きなキツネの子。
出所:東京ディズニーリゾート公式Webサイト
出所:東京ディズニーリゾート公式Webサイト

ダッフィーとオル・メルで大きな人気格差

 跡見学園女子大学の山澤成康ゼミの研究チーム(市川光・前田咲樹)は、ダッフィー&フレンズのキャラクター人気順位についてアンケートを行った(10〜30代の61名)。1番好きなキャラクターは以下の順位となった。ダッフィーの人気が圧倒的に高く、2位以下との格差が大きいことがわかった。

 1位 ダッフィー(39.3%)

 2位 シェリーメイ(16.4%)

 3位 ステラ・ルー(11.5%)

 4位 リーナ・ベル(9.8%)

 5位 ジェラトーニ(8.2%)

 5位 クッキー・アン(8.2%)

 7位 オル・メル(6.6%)

 逆に、7番目に好きなキャラクターは以下の結果となった。オル・メルを7番目に挙げた人が圧倒的に多い。1番好きなアンケートで上位となったダッフィーやシェリーメイは、7番目に好きだとする人も少なかった。

 1位 オル・メル(41%)

 2位 クッキー・アン(24.6%)

 3位 リーナ・ベル(13.1%)

 4位 ステラ・ルー(9.8%)

 5位 ジェラトーニ(6.6%)

 6位 シェリーメイ(3.3%)

 7位 ダッフィー(1.6%)

見た目や知名度に課題

 ダッフィーとオル・メルでは人気に大きな格差がある。そこで、7番目に選んだキャラクターについて順位が低くなった理由を質問した。その結果、「見た目」を挙げた人が77%と圧倒的であった。続いて「知らない」が13%、「ストーリー」が5%となった。

 「知らない」という点については、登場してから日が浅いキャラクターの知名度が上がっていない可能性がある。しかし、直近にデビューしたのは、2022年9月にデビューしたリーナ・ベルであり、登場順に人気が高くなっているわけではない。

 オル・メルは2020年7月にデビューしており、コロナ禍で大きなお披露目イベントやショーができず、十分に周知できなかった可能性がある。オル・メルの次に人気が低いクッキー・アンは2019年12月にデビューし、お披露目ショー「クッキー・アンのグリーティング・ドライブ」が2020年3月から予定されていたが、コロナ休園で中止となってしまった。

見た目を変えて検証

 さらに、キャラクターの人気が出るために必要なことを選んでもらった。その結果、「キャラクターのデザインを変える」(48.9%)、「ストーリーを魅力あるものにする」(34%)、「魅力的なグッズを作る」(29.8%)の順に多かった。

 オル・メルは、緑色のカメのキャラクターで、背中の甲羅にミッキーマークの模様がついている特徴がある。音楽が好きで、ウクレレを持って登場することも多い。このオル・メルのデザインを改良すべき点として、「斑点を消してほしい」「髪飾りがない」「色合いが可愛くない」という意見が寄せられた。

 そこで、足の裏にミッキーのマークを入れる、肌を白と黄緑にする、髪飾りとしてウクレレをつける、まつ毛を減らすといったデザイン変更を行ったイラストを作成した。さらに世間で流行りのキャラクターを参考に「可哀想で可愛い」をテーマとしたストーリーを設定した。この新しい見た目とオリジナルストーリーを踏まえ、“可哀想なオル・メル”としてマーケティングを行なった場合、現在のオル・メルより人気が出ると思うか、改めてアンケートを行い49人の回答を得た。その結果、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の合計が51%、「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」の合計が49%となり、ほぼ半々となった。見た目やストーリーを変えるだけでは、人気は出にくい。

ダッフィー&フレンズ新キャラクター人気テコ入れ施策が必要 

 アンケートでは、オル・メルの人気がない理由として「そもそも亀が好きではない」という意見もあった。かなり根本的な問題ではあるが、ダッフィー&フレンズは、海外のディズニーパークでも展開されており、オル・メルはハワイのアウラニ・ディズニー・リゾート&スパでデビューしたキャラクターである。日本人の好みだけで作られたキャラクターではない。

 日本の事情だけで変更できない部分はあるが、人気の高いダッフィーと比べて最近デビューしたキャラクターの人気や知名度が追いついていない現状に対し、ダッフィー&フレンズとしてさらに人気を高めるためには、新キャラクターがより愛されるようにするテコ入れ施策が必要である。

桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授

早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。2006年より桜美林大学ビジネスマネジメント学群助教授、准教授を経て、2009年より現職。専門分野は、レジャー産業、レジャー施設、レジャー活動。1990年から『レジャー白書』の執筆に携わる。近年はアジア諸国のレジャー活動状況調査を実施し発表。単著『新 ディズニーランドの空間科学 夢と魔法の王国のつくり方』『観光・レジャー施設の集客戦略 利用者行動からみた“人を呼ぶ魅力的な空間づくり”』、共著『「おもてなし」を考える 余暇学と観光学による多面的検討』『観光経営学』『観光学全集 観光行動論』等。レジャー施設に関する論文多数。

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