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週末の沖縄県先島諸島に非常に強い台風14号接近 台湾に接近する台風は進路予報が難しい

饒村曜気象予報士
小さくてくっきりした台風14号の目(9月8日18時)

小さくてくっきりした目

 9月7日9時に発生した台風14号は、8日夜から急速に発達し、小さくてくっきりした目を持つようになりました(タイトル画像参照)。

 そして、非常に強い勢力を保ちながら西進を続けています(図1)。

図1 台風14号の進路予報と気象衛星画像(9月9日3時)
図1 台風14号の進路予報と気象衛星画像(9月9日3時)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください

 先島諸島を通って東シナ海を北上する予報となっていますが、台湾付近を通過する台風は、進路予報が難しい台風です。

 しかも、大きさの割には風が強い台風で、急に強い風が吹き荒れるという危険な台風でもあります。

台湾の地形

 日本の最西端の与那国島から西へわずか30キロに台湾があります。

 面積は九州よりやや小さい島ですが、最高峰はユイ山(3997メートル)で、富士山(3776メートル)より高く、太平洋戦争以前は新高山と呼ばれていました。

 そして3000メートル以上の高峰は133もあり(日本は12)、台湾の東側に沿ってほぼ南北に延びる山脈を形成しています(図2)。

図2 台湾概図(線は1000メートルの等高度線)
図2 台湾概図(線は1000メートルの等高度線)

 このため、台風が台湾に接近、あるいは上陸するときには、この山の影響が大きくきいています。

 つまり、台湾付近の台風の動きは複雑なものが多く、進路予報が難しいのです。

 進路が変わったり、山脈の反対側に副低気圧が発生して、台風本体とは離れた場所で強風が吹いたりします。

 そして、進路予報が難しいことから、強度予報も難しくしています。

 例えば、今年、令和3年(2021年)の台風9号は、南シナ海から華南に上陸した後、台湾海峡を通って台湾に上陸し、そのまま衰えるという予報でした(図3)。

図3 令和3年(2021年)の台風9号の経路
図3 令和3年(2021年)の台風9号の経路

 つまり、華南に上陸して衰えつつあった台風9号が、台湾上陸でさらに衰えて熱帯低気圧になるという予報でしたが、実際に上陸したのは、台湾北部で山脈の影響が少ない場所でした。

 このため、台風の勢力を持ったまま東シナ海に入ることになり、そこで再発達をし、8月8日20時すぎに鹿児島県枕崎市付近に上陸しました。

週末の沖縄は台風14号の動向に注意

 低気圧や前線の影響で、関東から北日本にかけては日中も肌寒く、西日本と沖縄は蒸し暑いという、両極端な天気分布となっています。

 西日本は晴れますが、東~北日本もくもりや雨の所が多い見込みで、沖縄はあすにかけて晴れますが、所によりにわか雨がありそうです。

 そして、週末の沖縄は、接近する台風14号に警戒が必要です。

 予報円が非常に大きいのですが、かなり発達した状態で沖縄県先島諸島付近を通る可能性があります。

 進路予報が難しい台湾に接近する台風ですので、最新の台風情報の入手に努め、警戒してください。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:饒村曜(平成5年(1993年))、続・台風物語、日本気象協会。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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