【河内長野市】河内長野北部住宅地の間、小山田バス停の裏山の上、ひっそり鎮座する小山田金刀比羅宮の存在
小山田地域にある神社といえば、まず思い浮かべるのは住吉神社だと思いますが、実はもうひとつ金刀比羅宮(ことひらぐう/こんぴらぐう)があることを最近知りました。さっそく出かけてみましょう。
場所は小山田バス停のすぐ近くです。荘園町と緑ヶ丘の間にあります。
バス停の前にある裏山沿いに左手の道を歩いて行くと、入口がありました。
こちらが金刀比羅宮です。裏山の上に鎮座しているようです。
一気に階段を上る必要があります。登りやすいように手すりがついていました。
金刀比羅宮の本宮は香川県琴平町の象頭山(ぞうずさん)中腹にあります。大物主命(おおものぬしのみこと)が象頭山に行宮(あんぐう=仮の御殿)を営み、その跡を祀った琴平神社という伝承とがあります。
さらに真言宗象頭山松尾寺由来の仏教の金毘羅(クンビーラ/こんぴら)の伝承が融合したとあり、金刀比羅宮・金毘羅権現の神仏混淆(しんぶつこんこう)で祀られていました。
明治の神仏分離・廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)実施後は、仏教系の金毘羅権現は廃止となり、神道系の大物主命だけを祀っているそうです。
江戸時代中期ごろから全国に信仰が広まり、各地で金毘羅(金刀比羅)講が組織されて「金毘羅参り」が行われるようになったそうです。その関係で金刀比羅宮の分社が全国に600ほどあるそうです。
小山田にある金刀比羅宮も分社のひとつと考えられますが、河内長野市内には上田に「金刀比羅講」、天野に「金毘羅大権現」があります。また富田林市の嬉に金刀比羅神社、錦織神社の境内の末社としての金刀比羅宮、さらに千早赤阪村森屋に金刀比羅権現が確認できます。
明治時代以降に神仏が分離したので、全国の分社で金刀比羅と表記すると神道系の「大物主命」を祀っているそうです。
金毘羅大権現と表記した場合は、行者こと修験道の役小角(えんのおづぬ)が象頭山に登った時に、天竺の毘比羅霊鷲山(くびらりょうじゅせん)に住むとされる護法善神(ごほうぜんじん)金毘羅の神験(しんけん:神様からのしるし)に遭遇したという伝承に関連する仏教系の神を祀っている可能性があるそうです。
昔、四国の金刀比羅宮に行ったことがあります。階段が785段あることで有名ですが、小山田の金刀比羅宮も階段が多いですね。
階段の上まで登ってきました。雑木林のようになっていますが、奥に建物が見えます。
今登った階段を見下ろしてみましょう。
と思ったらもう少し階段を上る必要がありました。今度は本当に少しだけです。
登りきったところで、もう一度見下ろしました。
境内に、石灯籠と手水舎らしきものがあります。
石灯籠はひとつだけ残っていました。
手水舎には名前が彫られていて「當村 西元岩蔵」と読めます。當村という名前の村が近くにあるのかなと思いましたが、「當」は「当」と同じ意味らしいので、当村となり、この場所、旧小山田村の人だった西元さんが寄贈したと考えられます。
そして、社殿が見えます。この辺りではいちばん高い丘の頂上にあるようです。
社殿の先は下り斜面です。ここからは木々に覆われてよく見えませんでしたが、地図や航空写真を見る限り、天野川の流域になっていて、田んぼが広がっているようです。
社殿の前に来ました。左右に榊が捧げられています。良くみると上に鳥居が見えます。参拝させていただきました。
社殿の中にもうひとつ扉がみえます。厳重になっていました。入口に金刀比羅宮と書いてあったので、中に祀られているのは四国の金刀比羅宮と同じ神道系の大物主命と考えられます。
仮に明治期の神仏分離以前から影響を受けずに祀られていた場合、もしかしたら仏教系の金毘羅権現もいっしょに祀られているかもしれません。
近くに住んでいる人でなければ、小山田バス停のあたりを歩かないと気付かない場所にあり、小山田金刀比羅宮がいつ頃からあるなど独自の由緒などの情報は出てきません。考えられる可能性として、江戸時代以降に当時の村人が金比羅講を組織して四国讃岐国の琴平の本宮へと参拝し、神様を勧請してこの地に祀ったと思われます。
今でも地元の人が大切にしている場所であることは、社殿の前に榊が捧げられ、中が二重の扉で厳重になっていることからもうかがえました。
小山田金刀比羅宮
住所:大阪府河内長野市小山田町2536
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 小山田バス停から徒歩2・3分
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