北朝鮮が再び超大型ロケット弾を試射
9月10日早朝、北朝鮮の西部から2発の飛翔体が発射され朝鮮半島を横断し日本海に着弾しました。韓国軍の観測で水平距離330km、最大高度40~60kmを飛行。翌11日に北朝鮮は超大型放射砲(放射砲とは多連装ロケットの意味)を再び発射したことを公表。8月24日に試射したものと同じ種類のロケット弾であると判明しました。
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8月24日に発射された際は韓国軍の観測では水平距離380km、最大高度97km、最大速度マッハ6.5だったので、9月10日の発射は条件を変えてやや低い弾道で飛ばしたものと思われます。
推定直径600mmはあろうかという世界最大のロケット弾であり、実質的に短距離弾道ミサイルとほぼ変わりが無い性能を持ちます。ただしイスカンデル短距離弾道ミサイルのように滑空して低い高度を維持するような複雑な飛行はできず、多連装の数をもって迎撃を突破する方式です。
今回の発表で気になったことは、韓国軍の観測では発射が確認された飛翔体は2発だったにもかかわらず、発射後のランチャーのキャニスターは4本中3本が使用されたように見える点です。
発射時の写真からキャニスター4本は全てロケット弾が装填されていたことが分かります。そして発射後の写真を見る限り3本が使われたように見えます。
しかし北朝鮮側は9月11日の声明で「2度にわたって試験射撃が行われた。」と説明しています。9月10日の試験で2発発射したという意味だとした場合、数が合わない疑問が生じます。もしかすると3発発射されたが1発は発射失敗して直ぐに墜落した可能性があります。あるいは4発全部発射する斉射実験を行おうとして不具合が起きて、2発は正常に飛んだが1発は発射失敗、1発は点火失敗ないし発射中止といったケースも考えられます。
もし発射失敗だった場合、今回は内陸から発射しているので、陸上にロケット弾が落下した事故となります。
北朝鮮は9月11日の声明で「今後、多連装ロケットの威力上、最もはっきりした特徴となる連発試射だけを行えばいい」とも言っています。裏を返せば連発試射にはまだ成功していないということです。
北朝鮮2019年飛翔体発射 10回・20発
- 5月4日 イスカンデル短距離弾道弾×2
- 5月9日 イスカンデル短距離弾道弾×2
- 7月25日 イスカンデル短距離弾道弾×2
- 7月31日 大口径ロケット弾×2
- 8月2日 大口径ロケット弾×2
- 8月6日 イスカンデル短距離弾道弾×2
- 8月10日 ATACMS短距離弾道弾×2
- 8月16日 ATACMS短距離弾道弾×2
- 8月24日 超大型ロケット弾×2
- 9月10日 超大型ロケット弾×2
※イスカンデルはロシア製の独特な発射方式まで忠実に模倣
※ATACMSは形だけアメリカ製を模倣して中身はイスカンデルの可能性
※大口径ロケット弾は推定直径約400mm。ただしモザイクで詳細不明
※超大型ロケット弾は推定直径約600mm