【福山市】おいしさの秘密は天日干しとじっくり焙煎!遊心工房の手作りごぼう茶はいかが?
「全国のいろいろなごぼう茶を飲みましたが、多分うちのごぼう茶が一番おいしいです」
と自信たっぷりに話してくれたのは、就労継続支援B型事業所「遊心工房(ゆうしんこうぼう)」の管理者、福井一仁(ふくいかずひと)さんです。
自慢のごぼう茶の秘密を聞いてきました!
遊心工房のごぼう茶を飲んで驚いた
ごぼう茶は、カフェインゼロで食物繊維たっぷり、若々しさのキープやダイエットなどの効果があるといわれます。とはいえ、筆者にとっては独特のにおいと味のため、なかなか続けられないものでした。
ごぼうを食べるのは嫌いではありませんが、お茶にしてまで摂る必要があるのかな、くらいのイメージだったのです。
しかし、たまたま出会った遊心工房のごぼう茶を飲んで「えっ、これがごぼう茶?今まで飲んだごぼう茶とぜんぜん違う!」と驚きました。
まろやかな味!強いごぼう臭ではなく、ふわりとごぼうの風味が香ります。なんておいしいんでしょう。一口で惚れ込んでしまいました。
「水出しの冷やしごぼう茶もおすすめですよ」と聞いて、試してみました。
スティックを水に入れて1時間放置すれば、水出しのごぼう茶が出来上がります。
おいしい!これなら飲める。これなら飲みたい!
でも、なぜこんなにも味が違うのでしょうか。
遊心工房のごぼう茶の作り方
「ごぼう茶は、カットしたごぼうを干して焙煎して作ります。熱風乾燥や遠赤外線焙煎などをする工場もあるようですが、私が思うに、それでは風味が落ちてしまう。
うちではささがきにしたごぼうを天日干ししたあと、フライパンでじっくり時間をかけて焙煎しています。だからおいしいんです」と遊心工房の福井一仁さん。
焙煎風景を見せてもらいました。
この量を30分くらいかけて焙煎すると聞いて、またビックリです。
こちらの方は、フライパンからごぼうの一部を取り出して別の入れ物に移しています。何をしているのですか?
「厚いごぼうには火が通りにくいので、あとから焙煎しなおすんです」
ごぼうの厚みによって焙煎時間を変えるため、厚いごぼうだけを取り出しているのでした。
なんとていねいな仕事!こうして作られているから、香ばしく豊かな味のごぼう茶になるのですね。
完成したごぼう茶は、袋に詰めて販売しています。
ティーバッグは、1袋ずつ重さを測りながら作られていました。
商品にシールを貼る作業もていねいです。
プレーンなごぼう茶だけでなく、黒豆入り、レモン入り、生姜入りのごぼう茶もあります。いろいろ試してみたくなりますね。
就労継続支援B型事業所「遊心工房」とは
遊心工房は、就労継続支援B型事業所です。
就労継続支援事業所とは、障害のある人が、障害福祉サービスを受けながら働く場であり、働くために必要な知識やスキルを身につける場です。
雇用契約を結んで働く就労継続支援A型と、自分に合った無理のないペースで働く就労継続支援B型の2つのタイプがあります。
「障害のある人が作っているからといって、情けで買ってもらっても仕方がないと思うんです。商品として、よいものでなければならない。ですから味にはこだわっています。そして、手にとってもらいやすいように、できるだけ安く提供する努力もしています。大手のごぼう茶よりも、3割くらい安いのではないでしょうか」(福井さん)
そもそもなぜ、遊心工房でごぼう茶を作ることになったのでしょうか。
「シンプルな設備でできて味付けが必要なく、誰にでも作れて健康にいいものを、と考えたらごぼう茶でした。作り方はいろいろ研究しました。今の作り方に落ち着くまで、5~6年はかかっています」
遊心工房は、ごぼう茶からのスタートだったのですか。
「いえ、最初は不登校や発達障害の子どもたちの、居場所作りとカウンセリングから始めました。1998年からですから、もう30年近くになります。
それまで私は、専門学校の事務やメーカーの営業をしていました。
けれども、学校から弾かれてしまう『やんちゃな子ども』たちを放っておけず、42歳のときに退職して合同会社自由館を立ち上げました。引きこもりやうつなどの相談にも乗っています」
「福山市内に精神障害者のための事業所がなかったので、作ったのが遊心工房です。
就労継続支援と名前がついていますが、障害のある人を就職させることだけを目的にはしていません。
少しでいいから、社会に足がかりができるように支援したいのです。安全安心な環境で自分の意志で自分をコントロールする、『自立』はもとより、しっかりと『自律』できることを目指しています。
ですから、ここには何時に来てもいいし、何時に帰ってもいい。自分が仕事をする日は自分で選んでもらっています。もちろん、仕事をしながらおしゃべりをしてもいいし、眠いときは寝ていてもいい。
登録している人は80人くらいです。とはいえ、みんな自分のペースで来ているので、1日に来ているのは20人くらいですが、楽しそうに働いていますね。多分、こんな事業所はあまりないと思います」
お話を聞いて、楽しく働く皆さんが作るごぼう茶だからあの優しい味になるのだと感じました。
遊心工房ではごぼう茶以外にも、チラシの折り込み作業や、製品の組み立て作業など、いくつかの作業を請け負っています。
ごぼう茶の販売場所
遊心工房のごぼう茶は、次の場所で販売しています。
・遊心工房(福山市今町1-18 天尚堂ビル2・3・4階)
・FUKUYAMAふくふく市(福山市千代田町1丁目2番41号)
・神辺アグリセンター ふれあい市(福山市神辺町大字川北1071-3)
・瀬戸ふれあい市(福山市瀬戸町地頭分728-1)
・川口ふれあい市(福山市川口町2-12-7)
・ナチュラルマーケットIKO(福山市木之庄町3丁目3-5)
・神田製作所(福山市道三町2-6)
・道の駅アリストぬまくま(福山市沼隈町1796)
・むべやまの里(福山市駅家町大橋830-1)
・通信販売
「2024年の秋には、干し芋も作ります。2023年に試験的に作って販売したのですが、人気ですぐ売り切れました。2024年はたくさん用意する予定です」と福井さん。
遊心工房のごぼう茶と干し芋の組み合わせは、最高のおやつになりそうです。