【台風10号】九州からじわり東進…のち近畿で止まる!?離れた東海で特別警報の可能性も:気象予報士解説
30日は、台風10号が九州から中国・四国地方へとゆっくり東へ進む見通しです。
暖かく湿った空気が流れ込むルートがあまり変わらないため、すでに29日までに大雨になっている四国や東海・関東などの地域で、さらに降水量が上乗せされるおそれも。
台風中心から離れた場所で豪雨をもたらす、いわゆる「遠隔豪雨」により、特に東海では静岡県で大雨の特別警報を発表する可能性があると気象庁が情報を出しています。
しかも31日(土)以降、予報円が重なっていて、あまり進まなくなる可能性も…。
台風はなぜ「止まる」のか、逆にスピードアップする可能性はあるのか、大雨がいつまで続くかの見通しも含め、気象予報士が解説します。
「小さい予報円」のち「重なる予報円」
台風10号の予報円は、31日に日付けが変わる頃にかけてはかなり小さく、ほぼ確実にこの円の中心を通っていくことが予想されています。
(なお、よく間違われますが、予報円の大小は台風の大きさや強さとは関係ありません。小さい方が予報が確実、大きい方が不確実という意味です。)
一方、31日(土)日中の予報円は9月1日(日)とかなり重複しています。
これは、台風の進路を計算している国内外の複数のモデルの中に、台風が近畿付近でウロウロしてほぼ停滞するような予測を出しているモデルがあるためです。
ただ、停滞せずにどんどん進むという予測を出しているモデルもあるため、間を取って、31日と1日の予報円を重ねつつも1日の予報円の方が前方に出るような描き方になっています。
台風が「止まる」理由については1つ前の記事でも解説していますが、台風が上図のように、周りのどの風にも乗れずに進めないする可能性があるためです。
なお、少し専門的な話ですが、31日頃に北日本付近を上空の気圧の谷が通過する見通しで、つまり偏西風がU字型の谷のような形になって南下するので(上図の点線)、もしこのタイミングで台風が偏西風に乗ることができると、一気に東の海上まで抜けていく可能性もあります。
30日も広範囲で大雨に警戒、竜巻などの突風にも十分注意を
30日も引き続き、九州から東北のかなり広い範囲で雨が降り、特に四国、東海、関東などでは活発な雨雲がかかりやすくなります。
九州北部・山口県・東海は30日に、四国は31日にかけて、近畿では30日夜から31日にかけて、線状降水帯の発生予測情報も。
また、29日から30日朝にかけて冠水の被害などが相次いだ静岡や関東では、いったん雨がおさまっても夜にかけてまた激しくなりそうです。
このさき近畿や東海などは9月2日(月)にかけて、関東甲信では3日(火)にかけて大雨警報が出るような雨が続く可能性も。
すでに30日朝までの累積で宮崎では900ミリ近く、大分は600ミリ超、静岡では500ミリ超の雨が降っていて、全体の降水量が広範囲で記録的になるおそれもあります。
なお、台風は今のところ9月1日(日)には熱帯低気圧に変わる見込みですが、熱帯低気圧に変わっても雨がすぐやむわけではないため、雨は長引く見通しです。
週明けの予報は近畿~東北で信頼度「C」
台風の進路が見えないために、週明けの予報は広い範囲で信頼度「C」、つまりもっとも予報が変わりやすいランクになっています。
これまでも散々台風に予定を振り回されてきた人が多いとは思いますが(筆者もその一人です…)、可能な限り予定を柔軟に変えられるようにしておくのも「防災」です。
無理な移動をできるだけ避けるようにして過ごしましょう。
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