【河内長野市】イズミヤから大師町への階段がアートペイントされました。そしてクルクル!実は深い理由が
壁を勝手に落書きするのはダメですが、最近はミューラルアートといって、所有者の許可を得て壁などにアートペイントをする例が増えてきましたね。
例えば富田林の事例ですが、金剛東中央公園のミューラルアート、また最近では近鉄富田林駅の壁にも、寺内町を題材にプロの画家が描いていました。
しかし、河内長野のミューラルアートでは、壁ではなく階段をアート。それもプロではなく、住んでいる地域の人や中学生が描いたというのです。
場所はイズミヤから大師町に向かう通称大階段です。これはいったいどういう事でしょうか?
答えは階段の途中に貼り付けてあるチラシに書いてありました。これは7月13日から15日にかけて行なわれたペイントワークショップによるものだったのです。
私はこのようなイベントが行われることを、ある情報筋から事前に入手していました。そして、この階段だけでなく、移動支援のモビリティ「クルクル」もペイントの対象だというのです。
クルクルといえば、南花台で運行されているものが有名ですが、南花台の他にも運行されている場所があり、その中のひとつが大師町・日東町です。
そして7月15日にワークショップとお披露目会が行なわれると聞いていましたので、私は当日イズミヤに行ってきました。
4階のイズミヤゆいテラスに来たところ、多くの人がアートにいそしんでいました。
とはいえ、私が来たときにはちょうどワークショップは終わってしまったようです。残念!
後日、作業の様子の画像をお借りしました。
というわけで完成した作品が並んでいます。まるで西陣織のような織物が並んでいるようにも見えます。
もちろん織物ではなくアート作品です。緑色を主体にしたものですね。
だれかが手をペンキに塗ってシートにつけたみたいですが、別の動物の足跡のように見えるから面白いです。
さて、担当の方にお話を伺うと、これは昨日今日だけのイベントではないことを知りました。実は半年以上も前から綿密に行なわれた計画の集大成だったのです。
ワークショップの名前は「アートワークショップ クルクル 観ル知ル創ル」です。南花台で稼働しているクルクルが、大師町・日東町にも導入されることになったので、そのクルクルを地域住民にもっと身近に感じてもらおうと企画されたものだったのです。
まず、日東町にある東中学校の中学生による「事前イントロ」が、1月11日から中学校内の美術部員を中心にスタートしました。
そのまま1月27日に「観ル」中学生編として、ゆいテラス会議室にて生徒14名が集まって開催されたのです。
さらに、2月11日には地域住民が15名集まって「観ル」イベントが行われました。
「観ル」段階が終わった後は、「知ル」です。2月17日に中学生と地域住民がゆいテラスに集まって合同で行なわれました。
内容は「観ル」で感じたことを共有し、次にどうすればクルクルが「身近なもの」として受け入れるかのアイデアを考えました。
この中で面白いと思ったのはこちらです。クルクルで巡った日東町・大師町にゆるキャラを作るとしたらということで登場したキャラクターのスケッチです。「クルクルさん」「さかみちん」「シーソー君」「くろまろを縮めてくま」こうやってみると人の創造力というものは無限大にあるのではと思ってしまいますね。
そして、いよいよ「創ル」という段階になりました。「知ル」で出たアイデアを元に行なわれるわけですが、ここからさらに細分化されます。
①5月6日「創ルを始めル」。中学生と地域住民が、町の中のどこを何をアートに使えるか、改めて歩いて風景を採取します。
②6月1日「創ルを考えル」中学生と地域住民がゆいテラス会議室で、アート制作全体のコンセプトを考えて決めていきます。
③「創ルを具体化すル」は地域住民が6月23日、中学生が7月2日に分かれて行われました。どんなビジュアルにするか、素材や材料、手法の具体化が行われました。
④7月6日「創ルを準備すル」は中学生と地域住民が共同で行いました。実際に制作するものの準備ということで、大師町につながる大階段やクルクルの清掃を行っています。
ゆいてらすには、参加した人のアイデアが紹介されています。
多くの人のアイデアが結集されたのですから、愛着が湧くものであることは間違いありません。色もどうするか、数ある中から決めたんですね。
こうして、最終案としてまとめられていたスケッチも紹介がありました。「クルクルペイントプラン」では、「明るく楽しく」、「河内長野らしい自然」をコンセプトに決められました。
階段ペイントプランです。2日間の予定で行われることで、ベースとなる色を1日目に塗り、2日目に動きをつける色を塗るという計画だったとのこと。
こちらはイズミヤ懸垂幕とかいてあります。15日にイズミヤゆいテラスででみんなが塗ったのは懸垂幕だったのですね。
15日は100人ほどの人数が集まって創作したとのこと。
階段を実際に塗っている写真もありました。初日にべースとなる色1色だけ塗り、乾かしてから重ね塗りをしたわけですね。
さて15:30からお披露目会の式典が始まりました。
来賓の皆様方です。
そして主にワークショップに参加した中学生や地域の方々がいます。私も報道枠ということで仲間に入れていただきました。
司会による進行が始まりました。
最初に島田市長からのあいさつです。ここで初めて知る意外な事実を知りました。なんと、イズミヤ河内長野店は、株式会社エイチ・ツー・オーさんが進めていた整理の対象になっていたというのです。
理由は老朽化など様々でしたが、イズミヤが無くなってしまえば、大師町・日東町の住民にとってはとても不便になります。市職員の谷ノ上理事が島田市長に相談すると、「『ただ残してほしい』だけでは相手は納得しない。相手もメリットになる提案をするべきだ」と、非常に生々しいやり取りがあったことを話されました。
こうして様々な提案と協議を重ねた結果、イズミヤ河内長野店の存続が決まり、さらに4階部分1フロアを市に無償で貸し出ししてくれるという話にまで進みました。それが現在のイズミヤゆいテラスというわけだったんですね。
そして提案の中にあったのが、南花台で買い物移動に大きな威力を発揮した実績があるクルクルということだったのです。河内長野は高齢化が進んでいると言われますが、それは日本のどこでも起こりうることが一足早く来ているだけにすぎないとのこと。河内長野での頑張り次第では他の自治体への参考にもなるわけですね。
つぎに株式会社エイチ・ツー・オー(外部リンク)の細見正仁商業開発 取締役執行役員 SC 事業本部長からのあいさつです。細見本部長は「イズミヤ河内長野店は残ります!」と力強く話されたのが印象的でした。
株式会社乃村工藝社(外部リンク)の山口吉章執行役員、営業推進本部、近畿事業部長からのあいさつです。今回は乃村工藝社さんと千里中央公園パークマネジメント株式会社さんが、公民連携で地域の課題を考え、コミュニケーションや地域の居場所づくりをおこなう地域活性化プログラムの第一弾として実施したのです。
ワークショップ全体をプロデュースした講師・美術家の中島麦さん(外部リンク)です。中島さんは、美術を通して繋ぐ、アートを通じた活動を行なっています。中島さんは茨木在住ですが、今回のワークショップのために河内長野に15回以上訪問したそうです。そして中学生や地域住民と多くのアイデアを考えながら作品化のプロセスについて話し合い、具体化したとのこと。
そして、現在何もついていないこの部分に、15日にみんなで書いたアート作品が懸垂幕として飾られます。飾られる日は8月31日とのこと。
この後は、クルクルの最後の仕上げという事で、来賓の方々と地域の人、中学生とともにペイントセレモニーが行われました。最初に島田市長と地域の方が参加しました。
次に細見エイチ・ツー・オー事業本部長と山口乃村工藝社事業部長です。
ちらは日東町の楠台自治会長と大師町の楠翠台自治会長です。
皆さんに共通していえることは、とても楽しく塗っておられたことです。
最後に、飛び入りでお披露目会に参加した西野次期市長です。クルクルのハンドルにペイントされました。
クルクルのペイントセレモニーと記念撮影が終わり、最後に中島さんのあいさつで閉会となりました。ちなみにペイントされたクルクルは11月ごろに実際に走行するそうです。皆で塗ったカラフルなクルクルが街を走る日が今から待ち遠しいですね。
ということでお披露目会は無事に終了しました。
セレモニーの後、改めて大階段のペイントを拝見することにしました。
イズミヤから大師町に向かう途中の風景です。こんな自然にあふれたところが駅から徒歩圏内にあるのは河内長野ならではですね。
大師町方面に歩いて行くと、ペイントされた階段が見えてきました。
こちらです。ベースの色は黄緑と濃い緑を交互に分けています。
拡大しました。ベースの色の上に「動き」を表す色がペイントしてありました。
階段を登るときは「大変だ」と思いますね。ところが、ペイントしているとそちらに気持ちが集中できるのか、登るときの辛さをあまり感じずに上まで登れました。
階段の上から見下ろしてみました。ペイントが線のように見えます。これは、降りるときにそこに「段差がある」ことがよくわかるので、実用的にも良い気がしました。
今月、河内長野市の自動運転社会実装への取り組みが評価され、国の補助金が採択されました。逆に政令指定都市の堺市が採択されなかったことで、ネット界隈で少し話題になったニュースです。
堺のことはわかりませんが、河内長野では南花台などでの実績があり、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局(外部リンク)でも事例として紹介されていることから採択されたと考えられます。
もしかしたら国も先行して高齢化が進んでいる河内長野が、どう問題解決を目指しているのか期待しているのかもしれません。補助金を基にさらに実験が進むでしょう。
そしてモビリティ「クルクル」や階段が、中学生や地域の人によるアートを通じて、身近なものになれば、自然と愛着が湧きます。そしてます良い方向に進む。私は今回のお披露目会を取材して、そのように感じました。
ちなみに懸垂幕が披露される8月31日には、ゆいてらすのせいかつ辞典が行われます。内容は生活に役立つ知識やいろんなことに挑戦できる楽しい「体験イベント」を実施します。子どもたちが楽しみながら学ぶことで、社会や生活、2学期に役立つ技を身に着けようという内容で、参加は無料です。
また先着順の事前申し込み制で、当日いろいろなことを企画しています。
- 夏休み最終日に体操で体を動かす
- 郵便屋さんのお仕事体験
- スーパー衣料品売り場のお仕事体験
- クルクルの塗り絵ワークショップ
- 未来のお医者さん体験
- 電動カート乗車体験
イズミヤから大師町の途中にあるアートな大階段
住所:大阪府河内長野市大師町19
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩14分
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