原口が2戦連発、146キロデビューの望月、もと阪神・藤井は二塁打《4/3 阪神ファーム》
3日、阪神ファームは社会人のカナフレックスと初めて対戦しました。小虎ファンの方はご存じだと思いますが、カナフレックスは阪神タイガースにいた藤井宏政選手(25)が所属する企業チームです。藤井選手が入部した2014年にスタートしたばかりで、それでも昨秋には創部2年目で社会人野球日本選手権本大会に初出場しました。そのおかげでオープン戦(練習試合)の試合数も増えたとのこと。
そして阪神ファームとの試合も実現しました。当日は藤井選手を観に来られた方もいらっしゃったでしょうに、ケガでスタメンから外れてしまって…。でも代打でしっかり二塁打を見せてくれましたね。コメントは最後に書いています。きょうも相当な長さですみません。おつきあいください。
《交流試合》4月3日
阪神- カナフレックス (鳴尾浜)
カナ 000 000 000 = 0
阪神 203 001 00X = 6
◆バッテリー
【阪神】望月-伊藤和-山本-トラヴィス / 原口-小豆畑(6回~)
【カナフレックス】大西(2回2/3)-岩崎(2回1/3)-作元(1回)-中村(1回)-高崎(1回) / 田中-檀上(7回~)
◆本塁打 原口3ラン(大西)
◆二塁打 阪神:上本、中谷 / カナ:藤井
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]二:上本 (2-2-0 / 0-1 / 1 / 0)
〃中:俊介 (1-0-0 / 0-1 / 1 / 0)
2]左:緒方 (5-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
3]右二:板山 (4-2-2 / 1-1 / 2 / 0)
4]指:陽川 (1-1-1 / 0-1 / 0 / 0)
〃打捕:小豆畑 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
5]捕指:原口 (4-1-3 / 1-0 / 0 / 0)
6]中右:中谷 (2-1-0 / 0-2 / 0 / 0)
7]一:西田 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
8]三:森越 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
9]遊:植田 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
望月 2回 30球 (0-1-1 / 0-0) 146
伊藤和 3回 49球 (2-1-2 / 0-0) 140
山本 2回 38球 (1-4-1 / 0-0) 136
トラ 2回 33球 (2-1-2 / 0-0) 145
試合経過
阪神の攻撃から。1回は先頭の上本が四球を選び、盗塁成功。緒方の一ゴロで1死三塁となり、板山が右前タイムリー!ライトのエラーで二塁へ進んだ板山は三盗を決め、続く陽川の左前打で生還。2安打で2点を先取しました。3回も先頭の上本が左前打で出ますが、今度は盗塁失敗。2死後に板山と陽川が連続で四球を選んで、原口がカウント2-2からの5球目をレフトへ3ラン!5対0とリードを広げます。
4回は1死から上本が左越え二塁打を放つも後が続かず、5回は2四球と暴投などで2死一、三塁としましたが追加点はなし。そして6回、俊介の四球と盗塁などで2死二塁となり、板山が右前タイムリー!7回は中谷に二塁打、森越の四球などで2死一、三塁とチャンスは作ったものの無得点。8回は2回に続く三者凡退でした。
投手陣は前日の日本新薬戦と同じく完封リレー。先発はこれが実戦初登板のルーキー・望月です。まず1回は先頭打者のところで146キロを計測した真っすぐを中心に、見逃し三振、二ゴロ、中飛!わずか9球で三者凡退という立ち上がりを披露しました。2回は先頭の4番・日比野に四球を与え、遊ゴロ2つで2死二塁。暴投により2死三塁としますが、次も遊ゴロで打ち取って無失点です。
続いて伊藤和が登板。3回は四球や内野安打で走者を出したものの無失点。4回も1四球と1安打で1死一、二塁としながら6番・新谷は一直で併殺!西田、グッジョブです。5回は球数を要していますが、三者凡退でした。
3人目の山本は6回が三者凡退。3番・北條の打球をショート植田が捕ってジャンピングスロー、ワンバウンドになった送球をファースト西田もナイスキャッチでした。7回は先頭に四球を与え、連続三振で2死となったところで代打・藤井が登場。1球ボールのあと、同じ球速の真っすぐを右中間へ!さすがです。でも山本は続く代打・前出から三振を奪って無失点。
最後はトラヴィスです。8回は1死からストレートの四球、続く2番・高畑に左前打され、暴投で1死二、三塁としました。北條は空振り三振に仕留めたものの、日比野への死球で2死満塁…。しかし、次を二ゴロで無失点!9回は1安打を許しただけで、やはり0点に抑えて試合終了です。
モッチ―は146キロでご挨拶
試合後の話は、“プロ初登板”を果たしたチーム末っ子・望月投手からご紹介しましょう。先発で2回を投げて無安打無失点、しかも最速146キロというデビューでした。緊張した?「そうですね。実戦が高校3年の夏以来だったんで、緊張は結構しましたけど、楽しみな部分もあったんで。そっちの方が大きかったかなと」。昨年の7月以来ということは8か月ぶり。どんな気持ちかと聞かれ「やっと、という感じですね」と、ホッとしたような笑顔がこぼれます。
初球は真っすぐでいきましたね。「この3ヶ月間、ずっとストレートの練習をしてきたので、それしかないかなと思って」。最速146キロという数字は?「高校時代は130キロ台が多く、ピンチの時に140キロ後半もあったけど、今は常に140キロを超えている。そういうのを意識してやっていきたいです。それに146という数字より、球質とか球の重さとかを上げていければ。これからもっと練習して上げていきたいなと思いますね」
投げた球種は真っすぐ、スライダー、カーブ。1回は真っすぐ中心だったのは「原口さんとも話して、最初はまずストレートがいかないと、と思って多くなった」そうです。そのあと「高校の時とは違うものも練習しているので実戦で使いたかった」という変化球を交えての投球になりました。「違うといっても球種自体は変わらなくて、フォームや握り方などを新しくした」のだそうです。
「自分の思うリリースポイントを少しずらしたりとか、ストレートみたいに体をもっとタテに使っていけたらなと思って。フォームはあまり意識せず、右腕のテイクバックの速さやリリースポイントの差」だと話す望月投手。見ている分にはかなり微妙な感じかもしれませんね。2イニング目は少しばらついたかな?「きょう投げてみて、1イニング目と2イニング目は違うなと思いました。イニング間の過ごし方もいろいろ試して、一番いいのを見つけていきたい」。なかなか冷静に分析していますね。
「質の高いストレートを見せてもらった」
とはいえ、高橋投手コーチが少し微笑みながら教えてくれたのには「かなり緊張していましたよ~。ブルペンにいる時から、それが伝わってくるぐらいで」とのこと。やっぱり。前日も既に表情が硬かったですもんね。そして高橋コーチは「久保コーチと同じ見解なんですが、2回にボールの質が落ちたこと」を課題に挙げました。
「先発の可能性が高いピッチャーなので、イニングをまたいだ時の重要性を感じたんじゃないかな。初回は、そこに照準を合わせて非常に質の高いストレートを投げていましたよ」。質の高い直球とは「低めで伸びがあり、審判もストライクと言いたくなるストレート。角度があって伸びもある。キャッチャーの構えたとこから、まだ後ろに伸びてくる感じ」だそうです。
それはすごい評価ですが「真っすぐはいいけど変化球はよくなかったと課題は見えた。プロ相手なら変化球の精度を上げないと、と本人は思ったはず」と高橋コーチが振り返る初登板。それでも「プロのユニホームを着て初めてのマウンド、素晴らしい球を見せてもらったので、非常に楽しみですね」と。期待値は最大級と言っていいでしょう!
2試合で7打点でも反省するグッチ
続いて3ランの原口選手。でもホームラン談話の前に、まず望月投手についてのコメントを書いておきます。ルーキーの初登板、どうでした?「見ての通り、よかったですよ。初回に全力で来るのは当たり前、イニングを積んでいけばペース配分もできてくると思います。2回に三塁へ進めてしまった(暴投)のが申し訳なかったけど、そこでギアを上げてきたのはすごい!」
本人も高校時代に「ピンチでは140キロ後半が出ていた」と言っていますね。「そうですか!ピンチの場面でギアチェンジできるって、すごいですよねえ」と驚いていました。「投げることに関する身体能力がありますね」という原口選手は、帝京高校の後輩であるDeNAの山崎康晃投手が「昔は細くて、真っすぐがシュート回転していた」ことを例に挙げ、これからプロの体になっていくであろう望月投手の、その伸びしろを楽しみにしています。
さて、お待たせしました。2日の日本新薬戦では満塁ホームラン、そして3日は3ランと連発で計7打点ですからね。飛距離は2日の方があったような気もしますけど「入るな~とは思いました」と原口選手。球速表示は127キロと出ていたのですが「真っすぐですよ。きょうはスピードガンがおかしかったでしょう?」と。甘く入ってきた球かとの問いに「そんなに甘くはなかったですね。追い込まれていたから、インコースの真っすぐ要求だったと思います。いい体の反応ができたのでよかった」と答えました。
もちろん反省点も自ら口にします。「3打席目(空振り三振)、4打席(一飛)がちょっと…。インコースをうまく打てた分、開きがちょっと早くなったかな。壁を意識して、あそこは2つ見逃さないといけなかったかな」。カウント1-1で、2球続けて大きく体勢を崩しながら空振りした3打席目のことでしょうかね。反省は反省で、ずっと引きずることはない原口選手です。さあ、次は公式戦で連発してください!
ピンチでも自身のテーマを貫く
変わって、8回から登板したトラヴィス投手の話です。「1イニング目はバラついていたけど、いま練習で取り組んでいることを継続して貫くことができた。2イニング目はちょっと高めに浮いたんですが、全体的に低め低めでいけたのでよかった」。8回は満塁のピンチをしのぎましたね。「ここでも変わらず、テーマとしていることができたと思います」。テーマとして取り組んでいるのは「低めに投げる練習」で、どういう時でもできるように、と言っていました。
2イニング目に出た145キロが阪神では最速かなと思ったら「去年147キロがあったので、ことし最速です。去年の1試合だけですけど」と、とても遠慮がち。彼らしいでしょう?「DeNA時代には151キロが最速で、連投して次も150出たんですけど、ケガしてしまって…。今よりもっと上半身だけで投げていたので」。なるほど、そういうことだったんですね。毎年恒例になってしまっていたケガも、移籍後はありません。
今後に向けて「一番は、同じフォームで同じ質の球を低めに投げていくこと」というトラヴィス投手。そして「チームの勝利に貢献できるように」と、これはもう昨年から大きく進歩したコメントです。ことしは登板数も増えるでしょうし、投げる場面も変わってきていますからね。ぜひ飛躍のシーズンにしてください。
「楽しかった!打ててよかったです」
最後にカナフレックス・藤井宏政選手。2年半ぶりの鳴尾浜で「楽しみです!」と言っていたのに、なんと「少し前に右足を肉離れして。試合には出ないと思います。出ても代打くらい。まだ全力で走れていないんで」と、前日に聞きましたよ。ビックリです。ええ~っ!それなら代打ホームランにしましょう。「打ちたいですね」。そうそう、その日に原口選手が満塁ホームランを打ったと伝えたら「原口、さすが!」と言っていました。
そして当日、やはりスタメンでなく試合前半は一塁コーチ。途中で素振りをする姿はあったものの、ヘルメットはかぶっておらず。でも6回あたりからヘルメットをかぶってスイングを開始、7回に代打で登場!いやいや、すごい拍手だったね。「そうなんですか?聞こえなかったです。集中してたんで」。あらま。代走を送られてベンチに戻る際の拍手は聞こえたでしょう?「はい、嬉しかったです!でも代走って…なんかベテラン選手みたいですね(笑)」
足は大丈夫なの?思いきり二塁まで走っていたけど。「…」。痛かったと思われます。でも4月22日からのJABA長野大会、5月1日からのJABAベーブルース杯には出てもらわないと。間に合います!と本人は言っていました。どちらかの大会で優勝すれば日本選手権の出場確定ですからね。それまでに治してください。あの二塁打が…なんてことにならないよう祈っています。
「久しぶりにいろんな人に会えて、楽しかったです!打ててよかったです」という藤井選手。またカナフレックスの梁川浩樹マネージャーも「藤井は1打席だけですが、古巣に恩返しできたんじゃないかなと思います」とのこと。創部3年目の今季は17人も新人選手が入ってきたそうで、より一層ベンチも元気に見えました。都市対抗、日本選手権の本大会を目指して頑張ってください!