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エロール・スペンス・ジュニアが切望する再戦

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 前WBA/WBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロール・スペンス・ジュニアがテレンス・クロフォードとの再戦を切望している。7月29日の試合終了直後から、スペンスはスーパーウエルター級に上げてのリターンマッチを口にしていたが、敗者には試合後30日以内に、再戦を行使する権利がある内容で契約が交わされていた。その権利を主張することを、スペンスのトレーナーであるデリック・ジェームスが8月末日にESPNに認めた。

 Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 五分五分と見られていた両者だが、実際、大きな力量の違いが見られた。147パウンドから154パウンドに上げたところで、その差が埋まるとは思えない。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 もはや、「待ちに待ったカード」でも「実力伯仲の両者」でもない。既に決着が付いている。マイク・タイソンvs.イベンダー・ホリフィールドのように、"何か"を期待したファンが、第1戦より盛り上がる理由も、イベンダー・ホリフィールドvs.レノックス・ルイスやサウル・カネロ・アルバレスvs.GGGのように第1戦で不可解な結果が出たからこその再戦ではない。

 個人的には、スペンスが負ったダメージも気になる。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 一体、どんな興行になるか。カネロやジャーメル・チャーロとの対戦を希望するクロフォードにとって、スペンスとの第2戦は、モチベーションが上がらないファイトとならないか。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 メガ・ファイトを実現させるにあたって興行師サイドが「再戦契約」を盛り込んでいた訳だが、7月29日ほどの注目は得られないであろう。

 さて今後、クロフォードはいかなる道を進んで行くか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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