田舎の300万円以下の物件ってどんな感じ?実際に物件を購入した地方移住者の体験談
私たち夫婦が田舎への移住を決意したのは、のんびりとした環境下で穏やかな暮らしを求めたからです。しかし、移住にあたっての大きな課題は、限られた予算での一軒家の購入でした。私たちは、できるだけコストを抑えて田舎で家を手に入れ、新しい生活をスタートさせることを目指しました。しかし、実際に物件を探してみると、理想と現実のギャップに直面することになりました。
300万円以下の物件の実態
私たちは当初、予算を300万円以下に設定し、田舎の物件探しを始めました。
地方の不動産サイト、地元の不動産会社、空き家バンクなどを活用して約30軒の物件を見て回りました。
正直に言います。その9割は「そのままでは住めない」状態でした。特に問題が多かったのは水回りです。老朽化した配管や、古いキッチンや浴室の設備はリフォームが必要で、居住可能な状態にするにはかなりの手間と費用がかかることが判明しました。
また、雨漏りが発生している物件も数多く見られました。築年数が数十年以上経過した古民家では、屋根や外壁の傷みが目立ち、大雨の際には水が室内に侵入する状況でした。これらの物件では、屋根の修理や外壁の補修が必要で、その費用は予算を大きく超える可能性があります。さらに、湿気の多い環境ではカビが発生しやすく、健康への影響も懸念されました。
加えて、動物が侵入した形跡がある家も多く、長期間放置された家には心理的な抵抗がはたらきました。
このような経験を通じて、田舎の300万円以下の一軒家には、住み始めるためには多くの課題があることを実感しました。私たちも当初は「すぐに住める家」を探していましたが、次第に「多少の修繕を覚悟する」方向に考えをシフトするようになりました。低価格帯の物件には、それなりの理由があるのです。
「掘り出し物」は必ずある
希望は完全に消えたわけではありません。見て回った約30軒の中で、1割ほどの物件は「多少の手直しでそのまま住める」状態でした。前の住人が丁寧に手入れをしていた家や、最近まで実際に住んでいたため基本的なインフラが整っている家など、条件の良い物件も少数ながら存在しました。これらの物件は購入後すぐに生活を始めることができ、私たちにとってはまさに「掘り出し物」でした。
さらに驚いたのは、地方特有の事情である「タダでもいいから手放したい」と言う売主の存在です。過疎化が進む地域では、家の管理が困難になり困っている人が多くいます。こうした背景から、家を無償で譲りたいという希望を持つ売主に出会うこともありました。私たちも、実際に「タダでもいいよ」と言っていただいた物件もあります。
1割ほどの「多少の手直しでそのまま住める」状態の家で、売主が「タダでもいいから手放したい」という心境であれば、300万円以下という低予算であっても「掘り出し物」に出会えるのだと思いました。
もし物件探しをやり直すなら?
もし、今からもう一度物件探しをやり直すとしたら、私たちはまず移住を考えている地域に賃貸で1年ほど住むことを選ぶでしょう。現地での生活を体験しながら、地域の不動産情報や人間関係を築き、より良い物件に出会うチャンスを増やすことができると考えています。実際にその土地で生活してみることで、物件選びの視点も変わり、現地の情報を得ることで思わぬ掘り出し物に出会える可能性も高まります。
「リスクと魅力」その先にある理想の田舎生活
結論として、田舎の300万円以下の一軒家には、リスクと魅力が混在しています。安価で購入できる物件には多くの問題があり、修繕やリフォームに多額の費用と時間が必要になることがほとんどです。しかし、根気よく探し続けることで、理想の田舎暮らしに繋がる運命の物件に巡り会える可能性もあります。私たち夫婦も最終的には手直し程度で住める家を見つけ、新しい生活をスタートさせることができました。
田舎暮らしを検討している方にとって、300万円以下の一軒家は魅力的に映るかもしれませんが、現実的な目で物件を選び、慎重に判断することが重要です。
物件選びには時間と労力がかかりますが、その先には理想の田舎生活が待っているかもしれません。私たちの体験が、地方移住を考える皆さんにとって少しでも参考になれば幸いです。