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全30チームからの本塁打。前半戦はプーホルスやミギー、トゥロが達成(ウリベイも)。後半戦は誰が続く?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・モアノー(シカゴ・ホワイトソックス)Jun 9, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

全30チームからの白星」や「全30チームからのセーブ」に比べると、「全30チームからの本塁打」はそれほど珍しい記録ではない。達成者は51人を数える。そのうち6人は、今シーズンの前半戦に成し遂げた。

ブランドン・モス(セントルイス・カーディナルス)、アルバート・プーホルス(ロサンゼルス・エンジェルス)、ホアン・ウリベイ(クリーブランド・インディアンス)、カーティス・グランダーソン(ニューヨーク・メッツ)、ミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)、トロイ・トゥロウィツキ(トロント・ブルージェイズ)がそうだ。彼らが達成までに要した本数はまちまちで、モスは通算111本目、プーホルスは567本目だった。

残り1チームとしている現役選手も、10人を下らない。ただ、今シーズンの後半戦に関しては、前半戦ほどの達成ラッシュは望めそうにない。

リーチをかけている選手のうち、マーロン・バード(インディアンス)は薬物検査に引っかかり、6月1日に162試合の出場停止を科された。ミゲル・オリボ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)は開幕からずっと、AAAでプレーしている。バードはブルージェイズ、オリボはアリゾナ・ダイヤモンドバックスから本塁打を打ってない。

エドウィン・エンカーナシオン(ブルージェイズ)とA.J.ピアジンスキ(アトランタ・ブレーブス)は、所属しているチームからの本塁打がなく、移籍しない限りはノーチャンスだ。彼らと似た状況にある選手は多い。マット・ホリデイ(カーディナルス)、マーク・レイノルズ(コロラド・ロッキーズ)、J.J.ハーディ(ボルティモア・オリオールズ)、ジェフ・フランコーア(ブレーブス)、コルビー・ラスマス(ヒューストン・アストロズ)、クリス・アイアネッタ(シアトル・マリナーズ)は、所属チームの後半戦スケジュールに、本塁打を打ってないチームとの対戦が含まれていない。

また、ケリー・ジョンソン(メッツ)とプリンス・フィルダー(テキサス・レンジャーズ)は後半戦に、まだ本塁打を打ったことのないチームと対戦するが、いずれも3試合だけなので、不発に終わる可能性も高い。ジョンソンは8月5日~7日のタイガース戦、フィルダーは9月26日~28日のミルウォーキー・ブルワーズ戦で本塁打を打つ必要がある。

ジャスティン・モアノー(シカゴ・ホワイトソックス)の場合は、彼らとは異なる。モアノーはミネソタ・ツインズを残すだけで、ホワイトソックスは後半戦にツインズと10試合を行う。

鍵を握るのは、健康状態だ。昨オフにロッキーズからFAとなったモアノーは、12月に左肘の手術を受けた。ホワイトソックスと契約したのは6月9日。そのまま故障者リストに入り、7月4日からマイナーリーグで8試合にリハビリ出場した後、7月15日にメジャーリーグへ復帰した。ホワイトソックスでは、DHのアビサイル・ガルシアが不振に喘いでいる。モアノーは完全なレギュラーとまではいかずとも、対右用のDHとして起用されるだろう。ツインズのローテーションは、5人中4人が右投手だ。

ホワイトソックスとツインズは、7月29日~31日と9月1日~4日にミネアポリス、9月30日~10月2日にシカゴで対戦する。モアノーはキャリアの大半をツインズで過ごしてきて、そこでMVPも受賞した。全30チームからの本塁打は、できればツインズのホームで達成してほしい。

なお、リーチをかけている選手は、彼らだけではないかもしれない。ここに挙げたのは、通算100本塁打以上の選手だけだ。2014年には、当時ニューヨーク・ヤンキースにいたスティーブン・ドルー(現ワシントン・ナショナルズ)が、通算96本目の本塁打でコンプリートしている。もちろん、まだリーチをかけていない選手でも、後半戦に残るチームすべてから本塁打を打つ可能性はゼロではない。

ただし、今シーズンを最後にユニフォームを脱ぐデビッド・オティーズ(ボストン・レッドソックス)には無理な話だ。本塁打を打っていない3チームのうち、サンディエゴ・パドレスとは9月5日~7日に対戦するが、シンシナティ・レッズ、ピッツバーグ・パイレーツと当たることはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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