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1日平均男性10.5グラム・女性9.0グラム…成人の平均食塩摂取量の実情(2024年発表版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
料理には欠かせない存在の食塩。しかし摂りすぎは身体にマイナスの影響を(写真:イメージマート)

食事を豊かにするだけでなく、体調を整える上でも欠かせないが、過剰な摂取は逆に体に悪影響を及ぼす調味料、食塩。その摂取量の実情を厚生労働省が2024年8月に発表した定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2022年分における概要報告書から確認する。

日本人の健康増進のための指針「健康日本21」(第三次)によると、男女とも成人の目標塩分摂取量は1日あたりの目標値を7.0グラムと定めている。また厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、18歳以上男性は7.5グラム未満・同女性は6.5グラム未満(1日あたり、ナトリウムの食塩相当量)が目標値。

それでは実際の食塩摂取量はどれほどなのか。次に示すのは「国民健康・栄養調査」における、男女別・年齢階層別の平均食塩摂取量の結果。男女とも目標値を数グラムほど上回っており、塩分を過剰摂取気味なのが実情。

↑ 食塩摂取量平均値(男女別・年齢階層別、グラム/日)(2022年)
↑ 食塩摂取量平均値(男女別・年齢階層別、グラム/日)(2022年)

男女別では労働強度の違いや体質的な問題から必要とされる・体が求める食塩摂取量にも差異が生じ、結果として男性の方が摂取量は多い。また年を取るに連れて味覚細胞が鈍化する(=同じ味付けでも薄味に感じる)ことで濃い味付けを求めるようになるため、食塩摂取量が上乗せされる。

2003年以降の経年平均値を見ると、2005年に一度増加しているものの、それ以外はおおよそ減少し、2014年以降は横ばいとなっているのが分かる。そして直近の2022年では大きな減少が生じている。

↑ 食塩摂取量平均値(グラム/日)
↑ 食塩摂取量平均値(グラム/日)

健康志向の高まりとともに食塩の摂取量はわずかずつ減少の傾向を見せている。一方で2014年以降はあまり変化が見られない動きを示しているのには、留意する必要がある。

なお「国民健康・栄養調査」では2014年調査・2015年発表分から経年変化の一部データにおいて、年齢階層別の人口比によるデータのぶれを考慮し、年齢で大きな差異が生じる経年データに関しては、年齢調整を行った値を併記している(例えば摂取量が多い高齢者の人数比率が社会の高齢化により大きくなれば、全体の平均値も上がってしまう。そのぶれを防ぐのが年齢調整)。その動向は次の通り。

↑ 食塩摂取量平均値(年齢調整後、グラム/日)
↑ 食塩摂取量平均値(年齢調整後、グラム/日)

食塩摂取量が多めになる高齢者に関する調整が入るため、そのまま平均値を算出した場合と比べてやや少なめの値が出るが、傾向としては変わらず。2005年をピークに漸減し、2014年以降は横ばい、直近2022年では減少となる動きが示されている。そして一つの目安となる7.0グラムを超えていることにも変わりはない。

身体の健康状態を維持するために必要な食塩量は労働条件・運動量・年齢、そして日々の状態によって大きく異なる。一概に上記で触れた値「男性7.5グラム未満・女性6.5グラム未満/日をクリアしないと体が変調を来たす」わけではない(例えば上記「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によれば、小児(3~5歳)における基準量は男子3.5グラム未満、女子3.5グラム未満と記されている)。

ただし健康を維持する際の視点の一つとして挙げられる「食塩」を多量に摂取することは、健康にはマイナスとなることに違いない。目安としては十分以上に役立つものであり、今グラフを参考に、日頃の食生活における食塩の摂取について、今までよりもう少しだけ留意してほしいものだ。塩の利用量を少なくしても、美味しく味つけできる方法はいくらでもあるのだから。

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※国民健康・栄養調査

健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とするもの。調査時期は2022年11~12月中。今回調査分では調査実施世帯数は2910世帯で、調査方法は調査票方式。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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