地域別の食塩摂取量の違いをさぐる(2020年公開版)
食塩は日常生活においては欠かせない食品(調味料)の一つだが、過度に摂取をすると健康上のリスクが積み増しされる。日本では地域によって摂取量に違いは生じているのだろうか。厚生労働省が2020年12月に発表した定期調査「国民健康・栄養調査」(※)の最新版となる2019年分における報告書の公開値などから確認する。
成人の日本人が摂取している平均的な食塩摂取量は、男性10.9グラム、女性9.3グラム。おおよそ若年層ほど少なく、高齢層ほど多くなっていく。
また厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版では、成人の目標塩分摂取量に関して男性7.5グラム未満・女性は6.5グラム未満(2020年版、1日あたり)、「健康21」の最新目標値では8.0グラムが望ましいとしている。
これらの値を念頭に置いた上で。次に示すのは2019年時点の地域ブロック別の成人における、平均食塩摂取量。なお「関東I」とは埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、「関東II」は茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、「近畿I」は京都府、大阪府、兵庫県、「近畿II」は奈良県、和歌山県、滋賀県、「北九州」は福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、「南九州」は熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県が該当する。
男女を合わせた全国平均は10.1グラムだが、それを超える値を示すのは東北、関東I、北陸。もっとも多い地域が北陸なのを始め、おおよそ東日本の方が塩分摂取量は多い傾向にある。寒い地域ほど塩分を多く採る傾向があるのはよく知られた話だが、それが地域ブロック単位での平均値にも表れた形だ。それゆえに、最大値を示すのが北海道ではなくて北陸なのが少々不思議な動きではある。
これを男女別に区分したのが次のグラフ。
男女別に区分しても、おおよそ東日本の方が西日本よりも摂取量が多い傾向にあることや、最多地域が北陸であることに変わりはない(女性は同数で東北も最多地域となっている)。また、四国の摂取量が非常に少なく、女性では最低値、男性でも南九州に次ぐ少ない値を示しているのが確認できる。単なる誤差か、それともこの地方では食事摂取の様式で他の地域との差異があるのだろうか。
差異と言えばその四国では男女差が極めて大きな値となっている。女性の塩分摂取量の少なさが全体値を下げ、男女合わせた値ではもっとも少ない値となっている実情がうかがえる。四国では他の地方と比べ、男女で食事に大きな違いが生じているのだろうか。
なお今件はあくまでも平均値。身体上の差異や周辺環境により、必要な摂取量は大きく異なる。特に汗を多分にかく夏季においては、水分だけでなく適切なミネラル分を合わせて摂取することが求められることを、合わせて覚えおきたい。
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※国民健康・栄養調査
健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素など摂取量および生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とした調査。2019年調査分における調査時期は2019年11月中、調査実施世帯数は2836世帯で、調査方法は調査票方式。
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