推進系トラブルが発生した水星探査計画「ベピ・コロンボ」JAXA探査機「みお」の水星軌道投入への影響は
JAXAとヨーロッパ宇宙機関(ESA)が共同で進めている水星探査計画「ベピ・コロンボ」で、探査機の推進スラスタに技術的な問題が発生しました。
本記事では、水星探査計画「ベピ・コロンボ」の概要、そして不具合が今後の水星探査に与える影響について解説していきます。
■水星探査計画「ベピ・コロンボ」はどんなミッション?
ベピ・コロンボは、JAXAとESAが協力して進める国際水星探査計画です。JAXAが担当する水星磁気圏探査機「みお」とESAが担当する水星表面探査機「MPO」の2機の探査機を同時に水星周回へ送り込み、総合的な観測を行う大規模な国際協力ミッションです。そして、ESAの電気推進モジュール「MTM」が両探査機を水星まで運びます。大きく3つのモジュールに分かれている探査機なのです。
探査機は2018年10月にフランス領ギアナからアリアンVロケットにより打ち上げられました。現在3機の機体は縦に積み重なった状態で宇宙飛行を続けています。
■2021年には初の水星スイングバイに成功
探査機が目標軌道である水星周回軌道に入るのは2025年、実に7年もかけて水星に向かっています。
2021年には探査機が初めての水星スイングバイを行いました。表面には無数のクレーターが刻まれておりまるで地球の月のようですが、太陽系で最も太陽に近い惑星である水星を捉えたものです。2023年6月までに3回目の水星スイングバイに成功。今後は探査対象である水星を利用したスイングバイを繰り返すことで軌道を少しずつ変更し、最終的に2025年12月に水星の周回軌道へ入る予定です。
■推進モジュール「MTM」の推進スラスタでトラブルが発生?
ベピ・コロンボの推進モジュール「MTM」は電気推進スラスタを搭載しています。そして本日、MTMのスラスタがフル出力で運転ができないトラブルが発生しているとの発表がありました。スラスタの出力は通常時の90%まで回復てきていますが、MTMの電力が低い状態が続ているとのことです。
この不具合が今後の水星周回軌道投入にどのような影響を与えるかはまだ分かっておらず、現在調査中です。一方で、今の推力が今後も維持できれば、2025年9月の水星周回軌道投入は可能な見通しを得ているとのことです。ベピ・コロンボは長期のミッションであるため、今後も推進スラスタが機能を維持できることを祈りましょう。
2024年9月には4回目となる水星スイングバイが予定されています。ベピ・コロンボ、そして水星探査機「みお」の今後のニュースも注目です。
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