ウクライナ軍、ロシア軍の珍しい大型偵察ドローン「Granat-4」昨年11月ぶりに破壊し写真公開
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
ロシア軍は主にロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。たまに「Eleron-3」でも偵察を行っている。ほとんどが「Orlan-10」か中国製の小型民生品ドローンで監視・偵察を行っている。
それ以外のロシア製のドローンでも監視・偵察を行っている。2022年9月にはめったに見ることができない「Orlan-30」が破壊されていた。2022年11月には「Granat-4」、「Korsar(Корсар)」、「Supercam S150」、「ZALA 421-16Е2」というロシア製の偵察ドローンも破壊されていた。このように多くがロシア製の監視ドローンである。
そして2023年3月には久しぶりにロシア製監視ドローン「Granat-4」が迎撃されて破壊された写真が公開されていた。2022年11月には機能停止されて墜落した写真だったが、今回は上空で撃破されている。
ロシア軍がいつも監視・偵察に利用しているロシア製の監視ドローン「Orlan-10」を使用していないことから、「Orlan-10」が枯渇したのではないかという見解を示す欧米の研究者もいる。ロシア製の監視ドローン「Granat-4」はめったに破壊された写真が公開されない。同機は数か月ごとに飛来してくるが、あとどのくらい在庫があり、どのような周期や理由でロシア軍が利用しているのかは明らかにされていない。
▼ウクライナ軍が破壊したロシアの監視ドローン「Granat-4」(2023年3月)
上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。爆弾などを搭載していない小型の監視・偵察ドローンならばジャミングで機能停止させる"ソフトキル"で迎撃できるが、中型から大型の攻撃ドローンの場合は対空機関砲や重機関銃による"ハードキル"で上空で爆破するのが効果的である。「Granat-4」も公開された写真は明らかにハードキルで破壊されている。
地対空ミサイルシステムや防空ミサイルのような大型システムで監視ドローンを攻撃して爆破させるのはコストもかかるし、大げさかと思うかもしれない。しかし監視ドローンこそ検知したらすぐに破壊しておく必要がある。監視ドローンは小型でも大型でも「上空の目」として戦場では敵の動向をさぐるのに最適である。
監視ドローンで敵を検知したらすぐに敵陣をめがけてミサイルを大量に撃ち込んでくる。監視ドローンとミサイルはセットで、上空の監視ドローンは敵からの襲撃の兆候である。また部品を回収されて再利用されないためにも徹底的に破壊することができる"ハードキル"の方が効果がある。
▼ウクライナ軍が機能停止させたロシア軍の偵察ドローン「Granat-4」(2022年11月)