高齢化社会を見据えて 公共バスが自宅から行きたい場所まで送迎 北欧ノルウェー
67歳以上の高齢者なら、市のバスが自宅のドアまで迎えにきて、行きたい場所へと連れて行ってくれる。
北欧ノルウェーの首都オスロでは、試験プロジェクトとして、高齢者向けの新しい公共サービスに市が取り組んでいる。
市内3か所では、買い物や散歩をしたい高齢者のために、ピンク色のミニバスを用意。通常の市内を走る公共バスは、赤か緑色だ。
月~土曜、10~18時まで利用可能。車椅子にも対応しており、乗客にはひとりの同行者が付き添いできる。
バスは電話か専用アプリで、出発時刻の最低1時間前まで予約可能。
他のバスの通常料金と同じで、シニアは片道18ノルウェークローネ(約229円)だ。
ノルウェーでは、高齢者はできる限り長い間、自宅で生活をすることが最善とされている。
首都オスロでは、大気汚染や渋滞の問題を改善するためにも、できる限り車ではなく、公共交通機関、自転車、徒歩を推奨。
しかし、長い冬には道路が凍結するため、高齢者は外出がしにくくなる。
自由に移動ができることは、個人の自立やよりよい暮らしの質にもつながる。市議会は、高齢者向けの移動支援サービスを試すことに。
「年をとると、従来のバスでは移動の自由に制限がでてしまいます。ピンクのバスは、高齢者が家から出るための移動支援となります」と話すのは、Ruterの広報ヴェスタド氏。
バスは好評だが、市や交通機関側にかかる金銭的な負担は大きい。
「いずれは、交通機関ではなく、健康サービスのための公費として補助される必要もあるかもしれません」と語る。
オスロでは、ほかの課題もある。
保護者の多くが、子どもたちの学校や習い事の送迎のために車を使用。保護者の車の利用を減らすための、類似サービスも検討中だ。
Text: Asaki Abumi
文:あさきあぶみ(鐙 麻樹)
Photo/写真: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen