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高齢化社会を見据えて 公共バスが自宅から行きたい場所まで送迎 北欧ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事
高齢者の移動を地域がサポート  Photo: Ruter As

67歳以上の高齢者なら、市のバスが自宅のドアまで迎えにきて、行きたい場所へと連れて行ってくれる。

北欧ノルウェーの首都オスロでは、試験プロジェクトとして、高齢者向けの新しい公共サービスに市が取り組んでいる。

市内3か所では、買い物や散歩をしたい高齢者のために、ピンク色のミニバスを用意。通常の市内を走る公共バスは、赤か緑色だ。

月~土曜、10~18時まで利用可能。車椅子にも対応しており、乗客にはひとりの同行者が付き添いできる。

 Photo: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen
Photo: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen

バスは電話か専用アプリで、出発時刻の最低1時間前まで予約可能。

他のバスの通常料金と同じで、シニアは片道18ノルウェークローネ(約229円)だ。

ノルウェーでは、高齢者はできる限り長い間、自宅で生活をすることが最善とされている。

首都オスロでは、大気汚染や渋滞の問題を改善するためにも、できる限り車ではなく、公共交通機関、自転車、徒歩を推奨。

しかし、長い冬には道路が凍結するため、高齢者は外出がしにくくなる。

自由に移動ができることは、個人の自立やよりよい暮らしの質にもつながる。市議会は、高齢者向けの移動支援サービスを試すことに。

 Photo: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen
Photo: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen

「年をとると、従来のバスでは移動の自由に制限がでてしまいます。ピンクのバスは、高齢者が家から出るための移動支援となります」と話すのは、Ruterの広報ヴェスタド氏。

バスは好評だが、市や交通機関側にかかる金銭的な負担は大きい。

「いずれは、交通機関ではなく、健康サービスのための公費として補助される必要もあるかもしれません」と語る。

オスロでは、ほかの課題もある。

保護者の多くが、子どもたちの学校や習い事の送迎のために車を使用。保護者の車の利用を減らすための、類似サービスも検討中だ。

Text: Asaki Abumi

文:あさきあぶみ(鐙 麻樹)

Photo/写真: Ruter As / Redink, Thomas Haugersveen

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会理事

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信16年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。北欧のAI倫理とガバナンス動向。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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