自然災害で住宅ローンが一部免除になる!? 自然災害補償付き住宅ローン
台風15号、19号で被災された方に、心よりお見舞い申し上げます。
近年、団体信用生命保険に、自然災害で被災した際に返済を補償する特約が付けられる住宅ローンが増えてきました。
残念ながらすでに借りている住宅ローンへの途中付加はできませんが、これからの時代、家を買う時には、こうした住宅ローンも検討の余地がありそうです。
■住宅ローンの団信に付けられる自然災害補償
ここ2、3年の動きですが、団体信用生命保険(団信)に「自然災害補償」の特約が付けられる住宅ローンが増えています。
対象となる物件が被災した際の補償内容は住宅ローンによって異なりますが、大きく分けると2タイプあります。
・一定期間の住宅ローン返済を免除するタイプ
・債務が一部消滅するタイプ
どちらかというと、一定期間の住宅ローンの返済を免除するタイプが多いようです。
現在、こうした自然災害補償が付けられる住宅ローンを取り扱っているのは次のような金融機関です。
<自然災害補償が付けられる住宅ローンを扱う金融機関>
・三井住友銀行「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」
・みずほ銀行「自然災害支援ローン」
・りそな銀行「自然災害サポートオプション」
・新生銀行「安心パックS(自然災害に備えるプラン)」
・北日本銀行「自然災害サポートプラン」
・筑波銀行「<つくば>自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン」
ほか
ほかにもあると思いますので、ご確認ください。
■具体的な補償内容は?
具体的に2つの商品例をみてみましょう。
A銀行の例では、約定返済プランと残高補償プランの2つがあります。約定返済プランは、地震や豪雨などの自然災害に被災した場合に、罹災規模に応じて住宅ローン債務が6回、12回、24回分が免除されます。
一方、残高補償プランは、地震や津波等で自宅が全壊した時に、建物部分の住宅ローンの50%の債務が免除されます。同特約は新規の住宅ローンしか付けられませんが、途中ではずすことは可能です。
補償のコストとしては、約定返済プランが住宅ローンの金利に+0.1%、残高補償プランが+0.3%です。
A銀行の商品(引受:損保ジャパン日本興亜)
<約定返済プラン>
対象条件:住宅ローンの使途に「建物取得資金」が含まれていること
対象となる自然災害:地震/津波/噴火/落雷/水災/風災/ひょう災/雪災
補償内容:自然災害に罹災した場合、返済分の債務が消滅。
全壊=返済24回分、大規模半壊=返済12回分、半壊=返済6回分
コスト:金利に0.1%上乗せ
<残高補償プラン>
対象条件:住宅ローンの使途が「建物取得資金」であること
対象となる自然災害:地震/津波/噴火
補償内容:自然災害に罹災し、自宅が全壊認定を受けた場合、ローン残高(建物部分)の50%の債務が消滅
コスト:金利に0.3%上乗せ
水災や風災については、「約定返済プラン」の適用ということです。
同様に2タイプの補償を用意している金融機関は複数あります。
続いて、B銀行の例では、自然災害等により住宅が損壊した場合、住宅再建までの居住不能期間の住宅ローン返済を、最長12カ月(通算で36カ月)補償します。
補償コストは住宅ローン金利に0.05%上乗せです。
B銀行の商品(引受:カーディフ損保)
補償内容:対象事由による住居の全壊、大規模半壊により居住不能状態になった場合、居住不能期間の毎月のローン返済額を補償。
対象事由:火災その他の一般災害、自然災害、地震、噴火、津波
保険金支払期間:1回の居住不能状態につき最長12カ月(通算36カ月)
コスト:金利に0.05%上乗せ
自然災害に基づかない火災も対象になっているのが特徴です。
■「あと少しのサポートがあれば」の助けに
自然災害の被災者の中には、住宅ローン返済中の自宅が損壊し、二重ローン問題からスムーズに生活再建を進められない人もいます。大規模災害の場合、住宅ローンの返済が猶予されても、返済しなくていいわけではありません。
火災保険や地震保険に入っていても、建物の再建費用にはなっても住宅ローンは残ります。地震で被災した場合は火災保険の50%までしか付けられず、再建自体も十分にはできません。
「自然災害債務整理ガイドライン」等に基づく債務整理(住宅ローン等を借りている被災者が、破産手続きなどによらず、金融機関との話し合いで住宅ローンの減免を受けること)を利用する方法などもありますが、「あと少しのサポートがあれば」という状況の時には、こうした自然災害補償団信付き住宅ローンも助けになると考えられます。
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