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値上げ時代の電気・ガス・水道料金のスマート節約術 シニア600人に聞いてみました

斉藤徹超高齢未来観測所
コツコツ節約はSDGsにつながる(提供:イメージマート)

「「値上げ時代」の家計やりくり工夫術、シニア200人に聞いた7つの節約タイプ」では、家計全般の節約を7つのタイプに分類してみました。

今回は、電気・ガス・水道という家庭のインフラであるエネルギーを、いかに節約するかという具体的ポイントを整理していきたいと思います。

家計に占めるエネルギー・コスト(エネルギー・エンゲル係数)は近年上昇する一方です。ちょっとした油断が毎月の家計に大きく響くだけに、無駄・無理のない使い方を心がけたいものです。

そこで、やりくりに長けたシニア600人に、どのような工夫を重ねているか聞いてみました。電気・ガス・水道、いずれも、基本中の基本は、「つけっぱなしにしない」「オン・オフをこまめにする」でしょうが、それ以外の細やかな節約アイデアをご紹介していきたいと思います。

電気節約術 <テレビ・エアコン・照明編>

電気機器全般では、「使わないときはコンセントから外す」(50代男性)、「個別スイッチ付きの延長ケーブルを使用します」(60代男性)をはじめ、「使っていない部屋の電気はブレーカーごと消す」(50代女性)などの声が。

また、「エコキュートで、電気料金が安い時間帯を中心に生活をするようにしています」(60代女性)、「家電は省エネタイプを選びます」(50代女性)。さらには「アンペア数を下げ基本料金を下げます」(50代男性)といった技を繰り出す方もいらっしゃいました。

個別の家電製品では、テレビ、冷房(エアコン)、次いで照明などに関する節約術が寄せられました。

テレビに関しては、「見ない時は主電源を落とす」(60代男性)をはじめとして、「画面の明るさを暗めに設定する」(50代女性)、「大画面テレビは買わない」(50代男性)、「テレビを見る時間を減らします」(60代女性)、「テレビを見ないようにしています」(50代女性)などの声も聞かれました。

エアコンでは、「設定温度を28度にする(60代男性)」、「自動運転の方が電気代の節約になる」(50代男性)、「短時間でのオン・オフの繰り返し運転を止め、一定時間の連続運転で消費電力を抑える」(70代男性)などが基本として寄せられつつ、「サーキュレーターを併用する」(50代女性)、「エアコンより除湿器で温度調節する」(50代男性)など、機器の活用で工夫を重ねる声も。さらには、「部屋のカーテンを閉め日光を遮り部屋の温度が上がらないようにする」(70代女性)、「窓に断熱シートを当てる」(60代女性)など、部屋の温度上昇を防ぐために工夫される方もいらっしゃいました。さらには、「室外機の上に日が当たらないように厚手のシート、横に日よけのためのダンボールをL字型に置く。通風口の前には物を置かない」(60代女性)という室外機への工夫をされる方もいらっしゃいました。そして、「冷暖房が必要な時は、家族が一つの部屋に集います」(50代女性)という方も。

照明に関して最も多かったのは、「LEDを使っている」(70代女性)ですが、それ以外にも、「玄関の照明をオートセンサーに変えた」(50代女性)などや、「リビングの電気は、本当に暗くなるまでは、キャンドルを付けたりして、使う時間を短縮しています」(60代女性)、「夜は早く寝る」(50代男性)といった究極の節電術をなさっている方も。

ガス節約術 <ガスコンロ編>

ガスの節約術は主に調理に関しての工夫の声が寄せられました。「ガスは強火にしない」(60代女性)、「少量のお湯は電気ポットで沸かす」(50代男性)などから、「ジャガイモなどの固いものをゆでる時には2、3分前に止めて蓋をして余熱で茹で上げる」(50代女性)、「料理の時の野菜の下ごしらえにはレンジを使う」(60代女性)といった工夫も。

圧力鍋で加熱時間を少なくする」(60代女性)、「ほっとクックという鍋カバーに鍋を入れて余熱料理をします」(60代女性)、「煮込み料理はサーモスのシャトルシェフでガスの使用を低減」(60代男性)など、調理器具の使用によってエネルギーを削減する方法も見受けられました。また、「できるだけ熱源を使わない調理法で調理する」(70代女性)は、夏ゆえの工夫と言えるかもしれません。

ガスコンロそのものでの節約術としては、「ガスは、使い終わったら電源まで消す」(60代 男性)といった方法もあるようです。

水道節約術 <台所・洗面所・お風呂編>

台所では、「洗いと濯ぎでこまめに出す、止めるを実行する」(60代男性)、「夏の洗い物はお湯は使わず水だけ使う」(60代女性)、「洗い物するときは洗い桶に水を溜めて利用する」(60代女性)などが多く、「水は細く出す」(70代女性)といった声も。

洗面所では、「歯ミガキの時は水を出しっぱなしにしない」(70代男性)、「顔を洗うときに水を止める」(50代女性)、などが中心です。

お風呂に関しては、お風呂の水の再利用と効率的なお風呂利用の声が中心でした。「お風呂の残り湯で洗濯や掃除」(60代女性)「シャワーのお湯が出るまでただ流してしまうのはもったいないので、バケツに溜めておいて花壇の水やりの時に使う」(50代女性)などの声がありました。また、「シャワーヘッドを省エネのタイプに切り替えた」(60代男性)、「お風呂は、間隔を開けずに続けてはいる」(70代女性)の声も多く寄せられました。

また、「7月~9月はシャワーのみですませる」(50代男性)、「スポーツジムでお風呂も済ませる」(50代女性)といった声も。スポーツクラブ利用の多いシニアは意外と多そうです。

その他節約術

その他の意見として目立ったのは、「近所の公共施設で1日過ごす」(50代女性)、「休日に図書館に行く」(50代男性)。さらには、「働きに出る」(50代男性)まで、自宅にいないことがエネルギー・コストの節約につながるという考え方です。確かに日中、図書館で熱心に読書に耽るシニアの方々はよく目にする風景です。

また、節約に関する心構えを語る方もいらっしゃいました。「ケチケチを恥ずかしがらない」、(60代男性)「SDGsの取り組みと思って頑張る」(60代男性)「月々の明細をきちんと確認してモチベーションを上げる」(50代女性)。

節約は地球にやさしいSDGs活動でもある

このように、節約のためのさまざまなアイデアが寄せられました。みなさまも参考になるところがあったのではないでしょうか。

また、こうした節約術を教えていただいた上で、改めて考えてみると、節約とは、エコロジカルな活動であり、SDGs活動でもある、ということに気付かされました。単に節約を家計費の削減のためだけの活動だと考えるのではなく、無駄なエネルギーの使用を抑制することで、地球環境資源の無駄遣いにも貢献しているのだとポジティブに考えれば、より前向きな気持ちで節約に取り組むことができるのではないでしょうか。

超高齢未来観測所

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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