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「値上げ時代」の家計やりくり工夫術、シニア200人に聞いた7つの節約タイプ

斉藤徹超高齢未来観測所
値上げラッシュが続く中での節約は大変(写真:アフロ)

電気代、ガソリン代の値上げをはじめとして、小麦、油、などさまざまな商品の値上げが相次ぐ昨今、家計のやりくりが非常に厳しくなっています。給与も上がりにくいこともさることながら、生活資金の多くを公的年金に頼っているシニアにとって物価の上昇は家計を直撃することになります。

物価上昇トレンドは今後もしばらく続くことが予想され、帝国データバンクが企業1,701を対象に行なった「企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート調査」(2022年6月調査)でも、この6月以降に「値上げした/もしくはする予定」の企業は37.0%と4割近い数値となっています。

こうした状況下でシニアはどのような家計節約の工夫を行なっているのでしょうか。アンケートシステム“ミルトーク”を使い、60代以上のシニアに家計節約の工夫をお伺いしてみました。その結果を以下7つの節約タイプとしてご紹介します。

画像制作:Yahoo! JAPAN
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①安値情報を小まめにチェックする「安値チェッカー」

日々の家計管理の中で最も大きな割合を占めるのは、スーパーでの食品や日用品の購入です。日常の買い物でのさまざまな工夫の声が寄せられました。安いものを探し、選ぶために「折り込みチラシを見て小まめにチェック」する。(74歳女性)「毎日スーパーのチラシをネットでチェックする」(71歳男性)との声が多く、折り込みチラシのチェックは、新聞購読率の高いシニアならではの行動とも言えます。新聞購読を止めた層では、チラシ情報のスマホアプリを活用する方もいらっしゃいました。ちなみにスーパーのチラシが読めるアプリには、「トクバイ」「Shufoo!(シュフー)」などがあります。

とりわけ目新しくはないものですが、安値情報チェックは節約の基本中の基本行動とも言えます。また同じ商品を買うならば、必ず「PB商品の購入」(73歳女性)を選ぶという方も増えてきているようです。

②まとめ買い・閉店間際の見切り品を狙う「特売ゲッター」

安値情報チェックと同じく、節約行動の基本その2とでも言えるのが、「まとめ買い」や「閉店間際の割引を狙う」「見切り品をチェックする」といった行動です。

「安い時にできるだけまとめ買いをしています」(60歳女性)「閉店間際に行って、総菜などの割引率の大きいものを購入」(69歳男性)「見切り品がたまたまあれば買う。とにかく安い品を選んだり、土日には安くなる品を買う」(64歳女性)といった声が聞かれました。

また、コストコや業務スーパーなど、卸売タイプの業種が浸透してきた影響でしょうか、「お一人様ですが、大容量を友人等でシェア」(64歳男性)などの行動などもシニアで広がりつつあるようです。

③必要なものしか買わない「購買ミニマリスト」

これも節約の基本行動三と言えるものですが、「本当に必要なもの以外買わない」(66歳女性)「無駄なものは買わない」(63歳女性)、「必要なものを必要な量だけ買う」(64歳男性)という、ある種、買い物ミニマリストとも言える行動です。さらには、「お財布には一日分のお金しか入れない。こうすれば買いたくても買えないので無駄に買うことが無いし、その中でやりくりするしかないので」(64歳女性)という強制ミニマリストもいらっしゃいました。

④必要性を瞬時に検討する「理性でコントロール派」

購入の際に、その商品が本当に必要か、を再度確認することで、無駄遣いを抑制するシニアも多数いました。「欲しいか必要かを短時間で(瞬時)自問自答し決めること」(61歳男性)「気持ちで節約を絶えず意識する習慣」(62歳男性)「物を増やさないという意識で日々行動する」(71歳男性)などの声が聞こえました。こうした理性面から節約をコントロールするという意識は比較的男性に多い印象を受けました。

理性コントロール派では、「家計簿をエクセル管理し、項目を設けて円グラフ化する。そして変遷を観察し、ここ迄の支出は不要と思ったものは買うのをやめたり、減額するようにしている。過去一年だと格安スマホに乗り換え、贈答品減額を実行した」(64歳男性)「企業のコスト削減と同じで聖域を設けない。他人は他人、見栄を張らない」(64歳男性)など、サラリーマン時代のマネジメント感覚を定年後発揮する方もいらっしゃるようです。

⑤むしろ買わないという行動を選択する「購買引きこもり族」

意外に多かったのが、買い物の回数そのものを減らすことで節約を図ろうとする人たちです。「スーパーの特売にはなるべく行かない」(64歳男性)「用事が無いときには外に出ない、スーパーに寄らない」(60歳女性)「なるべく買い物に行く回数を減らす。あるものでメニューを考える」(61歳女性)「店に近づかない」(65歳女性)といった節約行動で、出かけること、見ることで引き起こされてしまう欲望を出かけない、見ないことで抑制しようとするものです。また買ったとしても、「スーパーで1品減らす」(63歳男性)といったマイナス購入努力をされている人もいらっしゃいました。

⑥最後まで使い切る「使い切りコンプリートタイプ」

一旦購入したものは、粗末にせず、必ず最後まで使い切るという方です。「食べ物は捨てない」(62歳女性)「買った食材は絶対に無駄にしない」(66歳女性)

「生鮮食品は必ず使い切る。冷蔵庫内にあるものを調理する。冷蔵庫がからになるまで買い物に行かない」(71歳女性)「食べ物を粗末にしない。残ったら翌日食べる、または商品によっては翌々日も食べる。作り方を工夫する」(61歳女性)

無駄を出さないために、「以前よりも冷凍野菜の使用を増やしました」(62歳男性)や、「一人暮らしになって、惣菜や弁当を購入することが多くなりました」(73歳女性)という惣菜シフト派も。

⑦いまどきの「ポイ活・クーポン活用派」

カードやスマホ・アプリを活用しポイントを貯める、クーポンを利用するといったスマートシニア・ショッパーも増えています。「割引クーポン使ってポイント増量日にまとめ買い、支払いをポイント還元率の高いクレジットカードに変更した」(65歳女性)「各種ポイントサイトで貯めたポイントを集約し、ひとつの買い物サイトで使用する」(64歳女性)という方も。シニアのスマホ利用率も近年は高まっており、こうしたポイ活行動はシニアの中でも一般化しつつあるようです。

以上、シニアに聞いた節約の特徴を7つのタイプとして整理してみました。もちろん、これらタイプは、それぞれ分かれるものではなく、人によってはこれらを複数使いこなす方もいらっしゃるでしょう。。

またこれ以外にも、さまざまな節約の創意工夫をされている方は多数おられます。例えば、「家庭菜園をしています」(62歳女性)、「自分で出来ること(ヘアカットや椅子の張替え等)は自分でやる」(62歳女性)といった自炊推進派から「スーパーの無料のお水をいただいています」(68歳女性)といった無料探求派、さらには「だらだらと遅くまで起きていないこと」(72歳男性)、「普段からかなり節約しているのでこれ以上すると精神的にも貧しくなってしまう。精神的な贅沢を心がけています」(74歳女性)といった精神面派まで、ある種涙ぐましい努力を重ねておられるようです。

願うべくは、早くこの一連の値上げラッシュが収束し、シニアの方のみならず私たちに安寧な日々が訪れることを願うばかりです。

超高齢未来観測所

超高齢社会と未来研究をテーマに執筆、講演、リサーチなどの活動を行なう。元電通シニアプロジェクト代表、電通未来予測支援ラボファウンダー。国際長寿センター客員研究員、早稲田Life Redesign College(LRC)講師、宣伝会議講師。社会福祉士。著書に『超高齢社会の「困った」を減らす課題解決ビジネスの作り方』(翔泳社)『ショッピングモールの社会史』(彩流社)『超高齢社会マーケティング』(ダイヤモンド社)『団塊マーケティング』(電通)など多数。

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