木に登るウジムシは正義の味方=アブラムシ駆除に大活躍するヒラタアブ幼虫
庭やベランダで大切に育てている植物にアブラムシが大量発生すると、実に気味悪い。そのアブラムシの集団の中に、時々ウジムシがいて、それもまた実に気味悪い。殺虫剤による大虐殺という最終手段に訴える人も多いのではないだろうか。
しかしこのウジムシは、アブラムシ駆除に大活躍するヒラタアブの幼虫だ。このウジムシの姿があちこちに確認できれば、アブラムシは激減していく可能性が高い。
昆虫記者はベランダの植物でこのウジムシを見つけると、アブラムシ退治を一時中断する。アブラムシの集団はこのウジムシにとっては大切な餌だ。自然にも人体にも悪そうな殺虫剤はなるべく使わずに(昆虫記者のアブラムシ退治は指でつぶすだけだ)、生物農薬とも呼ばれるテントウムシ(幼虫、成虫)、クサカゲロウの幼虫、ヒラタアブの幼虫などに頼ってアブラムシを駆除できるなら、それが一番自然の摂理にかなっていると思う。
ヒラタアブの仲間で一番多く見かけるのは「ホソヒラタアブ」だ。ホソヒラタアブの成虫が花にとまっていたり、交尾していたりすると、すごく可愛い。年に何回も発生し、真冬でも暖かい日にはその姿を見かけることがある。
成虫は花の花粉のほか、アブラムシの出す甘い汁も餌にしているという。また、アブラムシの集団の中に産卵するため、アブラムシの多い植物の近くで見かけることが多く、わが家のベランダには1年中いる。
ホソヒラタアブの姿は蜂に似ているが、ハエに近い仲間なので、翅は2枚(蜂は4枚)しかない。人を刺すこともなく、人畜無害なおとなしい虫だ。
ヒラタアブの仲間を蜂だと思って、怖がったり、追い払ったりする人もいる。しかし昆虫記者は、冬の陽の光が差し込むわが家のベランダで元気に飛び回るこのアブを見かけると、可愛い姿にみとれ、幼虫のアブラムシ駆除での活躍を期待して、つい「がんばって産卵して」などと応援したくなる。
(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)