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韓国語専攻のライターが教える!知っておいて損はない会話のカギ|“タメ口 NG”の場合が多いって本当?

西嶋広美翻訳者(韓国語)/フリーライター
画像の韓国語と記事の内容は関係ありません

SNS上のみならず、外国人と気軽にコミュニケーションをとることが増えた昨今。K-POPや韓流ブームも相まって、韓国人と会話する機会がある!と感じている方も多いのではないでしょうか。

ビジネス、学校、旅行、推し活など、場面はさまざま。そんななかで、気づかないうちに“NG会話”していませんか

大学時代に韓国語を専攻した私(筆者)が、知っておいて損はない韓国語会話のポイントをお伝えします。私も日本との違いに戸惑った経験があるので、興味のある方はぜひ、参考にしてみてください。

■初対面で年齢を教え合う

韓国では、初対面で年齢を聞かれることが多いです。

日本では、「年齢を聞くのが失礼に値する」といったシーンがたびたびありますよね。次項にも書きますが、韓国では1歳でも年齢が上の人に対して、基本的には“タメ口 NG”なんです。日本の先輩・後輩の間柄よりも厳しいという印象です。

韓国は儒教の教えが根づいているため、それが言動や考え方に大きく影響されています。その代表的なものに上下関係があり、年長者を敬うことが大切だとされています。そのため、初対面でも年齢を確認するのです。

ちなみに、「タメ口」は韓国語で「パンマル」といいます。

■1歳でも年上であれば、タメ口はNG

コミュニケーションのイメージ画像
コミュニケーションのイメージ画像

上でも触れましたが、1歳でも年上の相手には、敬語が標準となります。仲良くなって親密度が高まれば、自然とタメ口になっていくのは日本と同じですが、その際「タメ口にしよう」と、そのタイミングをはかる言葉は日本に比べて頻繁に使われます。

また日本の場合、そんなに親しくなくてもタメ口で話し、その許容範囲が広い人がいます。しかし韓国の場合は、出会って間もないうちは敬語を使うのが無難でしょう。

私も昔、友だちとして付き合いのあったオッパ(※)に、「年下なんだから、言葉遣いに気をつけて」と注意されたことがあります。それは韓国語が上達した証なんだと、ポジティブに捉えることもできますが、その当時は「学校の先輩でもないのに……なぜ?」と思ってしまいました。

(※オッパ=年上の男性を指す韓国語)

逆のパターンもあります。仲良くなった年下の女性に、私の方から「タメ口で話していいよ」と促したことがありました。しかし、いま現在も敬語で話されます。彼女にとっては敬語で話すことが自然なので、後に私も気にならなくなりました。

■両親と話すときに敬語を使う【応用】

映画やドラマを見ていると、親に対して敬語を使って話すシーンをよく見かけます。もちろん、日本語字幕は敬語では訳されていません。日本(語)においては不自然だからです。

韓国では両親や祖父母と話すときに敬語を使う」と聞いたことはありませんか。これも年齢における上下関係によるものだそうです。他人に家族について話すときも敬語を使います(話す相手にもよるそうですが……)。例えば――、

画像の赤線部分のように、直訳すると「釜山出身でいらっしゃいます」となり、親のことを話すのに尊敬語を使っています

では、正直、実際はどうなのでしょうか。結論からいうと、「家庭による」のだそうです!そして、時代の流れとともに若い人ほど、敬語ではなくタメ口で話す人が多くなっています。

父親には敬語、母親にはタメ口、人前では敬語というケースや、男性の場合、結婚を機にタメ口から敬語に変化することもあるようです。

おもしろいのが、幼稚園児が幼稚園の先生に敬語を使うこと。日本で小さい子どもが親以外の大人にタメ口で話しているのを聞くと、衝撃を受けるそうです。韓国と日本では、子どもが敬語を覚えていく時期が異なるようですね。

幼稚園のイメージ画像
幼稚園のイメージ画像

言語(言葉)には文化的、時代的背景が存在すると思うので、どちらがよい・悪いという話ではありません。

もしかしたら「あれ? 日本とそんなに変わらなくない?」と思った方もいるかもしれません。ただ、韓国語にも日本語のように尊敬語や丁寧語と友達言葉があって、その使い分けが日本よりも細かいのは確かです。

以前に比べて海外旅行をしたり、留学したりする人が増えて、若者は海外で異文化に触れることに慣れています。また、韓国を訪れる外国人も多いので、その点では「外国人だからOK」という部分も、少なからずあるでしょう。

もちろん、フランク(自由気ままに)に話す人も多くいるので、気後れする必要はありません!しかし、こういう言語的なものを知ることで「なぜいま、年齢を聞かれているのか」といった“謎”がスムーズに理解できます。すると、コミュニケーションもとりやすくなりますよ。韓国人と会う機会があったら、この記事を思い出してみてください。

“韓国歴” 30年以上の翻訳者兼ライターです。
長年の翻訳・取材経験などを生かし、さまざまな視点から韓国の記事を執筆中!
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翻訳者(韓国語)/フリーライター

小学生の頃から韓国が大好き!“韓国歴”は30年以上。神田外語大学韓国語学科卒(在学中「韓国外国語大学校」に交換留学)。大学卒業後は約18年間に渡り、韓流ポータルサイトのニュース記事(芸能・政治・経済・社会・スポーツ・北朝鮮)翻訳&コンテンツ企画業務に従事。インタビューや取材記事なども多数執筆。現在はフリーランスの翻訳者&執筆家(writer)として活動しています。

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