「チバニアン」商標の現状について
「命名"チバニアン" 77万4000~12万9000年前の地質時代 国際学会決定」というニュースがありました。申請されていた名称が正式なものとして認められたということです。
この機会に「チバニアン」商標の商標登録の最新の状況について調べてみました。地名も入ってますし、語呂も良いのでお土産物の名称等にはぴったりの商標かと思いますが、特定の個人や企業が独占してよいものかという考慮点があります。
最初の出願は個人の方によるもので14類(キーホルダー等)、16類(紙類)、28類(おもちゃ)を指定し(お土産品を意識しているように思えます)、2017年3月3日に登録されていますが、その後、「チバニアン」という名称の命名者でもある大学共同利用機関法人情報・システム研究機構が16類の「印刷物」についてのみ異議申立を行ない、書籍や論文等でこの名称を使用した場合に、公的機関に係る千葉セクションに関する書籍・論文等であるかのごとく、誤認するおそれがあるということで、公序良俗違反(商標法4条1項7号)により取消になりました。しかし、この取消は「印刷物」に対してのみであり他の商品の登録は残っています(そもそも、異議申立が「印刷物」に対するものなので他の商品は検討範囲外です)。この辺りの顛末は過去記事「"チバニアン"商標登録が(一部)取消になった理由」で書いています。
その後に、その個人の人による別区分の出願も含めて、7件の「チバニアン」という言葉を含む商標の出願が行なわれていますが、いずれも公序良俗違反として拒絶になっています(うち、小湊鉄道株式会社を出願人とする1件は拒絶査定不服審判で争っている最中です)。
今後、「チバニアン」およびそれを含む商標を出願しても公序良俗違反により拒絶される可能性が大です(命名者である大学共同利用機関法人情報・システム研究機構が出願したらどうなるかわかりませんが)。では、最初に登録された個人の登録はどうなのかというと、利害関係者が無効審判を請求しなければこのまま残り続けます。本来的には拒絶になってもおかしくなかったと思いますが、特許庁が勝手に無効にすることはありません。
追記(20/01/19):念のため書いておきますが、これは、たとえば「チバニアン饅頭」というお土産品を売れなくなったということではありません。むしろ、チバニアンという商標を誰も独占できなくなったので、誰でも「チバニアン饅頭」を売ることができるようになったということです。ただし、最初の商標登録と抵触する商品(キーホルダー類、紙類(印刷物を除く)、おもちゃ類)は(無効にされない限り)権利者の許諾がなければ販売できません。