【オートバイのあれこれ】現在も輝きを失わない、日本の名刀。
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「現在も輝きを失わない、日本の名刀。」をテーマにお話ししようと思います。
名車と呼ばれるオートバイは世の中にいくつもあるわけですが、これほど、そのインパクトでもって有名になったバイクというのもなかなか無いでしょう。
スズキ『GSX1100S カタナ』!
バイクにさほど詳しくなくても、「このバイクなら知っている!」という人は案外多いのではないでしょうか。
『西部警察』といったTVドラマ等で使用されていたこともあり、カタナの世間における認知度は他のバイクと比べても高いほうだと思われます。
そんなカタナが世の中に現れたのは、1980年(昭和55年)のこと。
当時の西ドイツにて開催されたモーターショー・IMFA(ケルンショー)でアンベイルされました。
「斬新」という表現でも全然追いつかないほどのスタイリングデザインは当時のバイクファンの度肝を抜き、このカタナの鮮烈デビューは後に「ケルンの衝撃」とまで言われるようになります。
このカタナのデザインはスズキによるものではなく、ドイツのデザイン会社・ターゲットデザイン社が考案したもの。
'70年代以降、「スズキはデザインが地味だよね」というような世評がよく聞かれるようになり、スズキのエンジニアたちはそうした評判を覆すため、ターゲットデザインへカタナのデザイン制作を依頼したのでした。
ターゲットデザインが作り上げたカタナのスタイリングは既存のバイク観を完全にブチ壊すアバンギャルドなもので、スズキはこのカタナをリリースしたことによって見事、従来の辛口評価を払拭することに成功。
当のカタナも、その佇まいから世界中で愛されるバイクになったことは言うまでもありません。
そして、カタナを通じてスズキの世界的知名度もグンと上がり、スズキは'80年代以降大きく飛躍することとなりました。
(余談ですが、'80年代に登場した『RG250ガンマ』や『GSX-R750』といったブランニューモデルの開発費は、カタナのヒットセールスによって得られた利益で賄われたとも言われています)
カタナがデビューしてからもう40年以上が経ち、その間にも個性豊かなオートバイは数え切れないくらい出てきたわけですが、カタナの存在感は一向にかげることはなく、現在に至ってはプレミア旧車として高い人気を誇ります。
それまでのバイクデザインに対する既成概念を一刀両断し、40年以上の月日が流れた今もなお、輝きを放ち続けるカタナ。
時代の流れに揉まれても鈍化しないその鋭く美しいシルエットは、カタナがまさに「名刀」であることの証なのです。
画像引用元:スズキ