知らないと怖い「恐怖症性不安障害」とは?恐怖をコントロールする方法
こんにちは、精神科医しょうです。
特定の状況や行動、物に対して度を越えた恐怖心を抱く病を「恐怖症性不安障害」と言います。
恐怖の対象は、広場や乗り物、高い所、人と会うこと…などですが、患っている本人はその恐怖が度を過ぎた不合理なものであるという自覚があります。
自覚があるにもかかわらず、認識を変えることができず、周囲の理解も得られないまま思い悩んでしまい、ひきこもりなどにつながるケースもあるため、注意が必要です。
周囲の人からみれば、たいしたことのないように感じることでも、本人にとっては耐えられないくらいの状況であるため、「考え過ぎ」などと軽くあしらったりするのは控えるべきでしょう。
今回は「恐怖症性不安障害」についての要因とどのような種類があるのか?恐怖をコントロールする方法について解説していきたいと思います。
「恐怖症性不安障害」とは?
「恐怖症性不安障害」とは、特定の状況や物に対して極度の恐怖を感じてしまいます。
また、想像するだけでも激しい苦痛が生じるため、意識的に回避するような行動をとるようにもなります。
では、「恐怖症性不安障害」にはどのようなものがあるのでしょうか?
・広場恐怖
人が多く集まる場所へ行くことや乗り物に乗ることに対して、恐怖心を抱きます。
パニック発作がきっかけとなって起こることが多く、ひどくなると外出できなくなり、抑うつ状態におちいることもあるため、早い時期に治療を受けることが大切です。
・特定の恐怖症
「限局性恐怖症」とも言われていて高所、閉所、動物や虫、血液、注射、暗闇…などある人にとっては何ともないような状況が恐怖の対象となります。
よく知られているのは「高所恐怖症」や「閉所恐怖症」ではないでしょうか。
怖がり方が尋常ではなく、気分が悪くなったり、失神してしまったりすることがあります。
しかし、多くの方は恐怖の対象を避け生活しているため、医療機関を訪れることはまれです。
・対人恐怖症
他人との交流や評価を恐れる病です。
人前で話をしたり、評価されたりすることに強い不安があり、極度に緊張し失敗を恐れます。
遺伝や環境が影響していると言われており、自己評価が低く否定的な考えを持つ方に多いようです。
抱いている不安は過剰なものだと本人は分かっているのですが、打ち消すことができません。
性格の問題だとあきらめてしまう方が多いのですが、治療を受ければ改善することができます。
「恐怖症性不安障害」の要因とは?
発症の要因は「遺伝」「体質」「環境」「気質」「脳の働き」などが考えられています。
恐怖症性不安障害を発症した方は、不安に関連した神経伝達物質の過剰な分泌や過敏さが認められているようです。
また、生まれ育った環境や本人の性格についても影響を受けていると思われます。
恐怖症性不安障害は生活に支障が出なければよいと割り切って過ごすことや、対人恐怖の場合は年齢が増すごとに自然に良くなることもありますが、症状がつらい場合は医療機関を受診し治療することをオススメします。
日常生活でのケアは?
恐怖に直面した時に、できることは限られていますが、緊張を和らげるにはリラクゼーション法や呼吸法が効果的とされています。
恐怖をコントロールできるという意識を持つことで、症状が次第に和らいでいくかと思います。
恐怖を覚えた時に以下の方法を試してみましょう。
・ある程度開き直ることで認識を変える
恐怖症性不安障害を患っている方は、人前で赤面したり失神したりすることを恐れる傾向がありますが、あえて「赤面するならしよう」「失神するなら、してみよう」と自分自身に言ってみると、軽快することがあります。
・腹式呼吸を練習する
人の呼吸は一般に「腹式呼吸」と「胸式呼吸」に分けられます。
腹式呼吸では横隔膜が収縮し、胸式呼吸では胸の筋肉が収縮します。
リラックスするのに必要な呼吸は「腹式呼吸」です。
大人になると胸式呼吸にかたより、腹式呼吸ができなっている人がいます。
感情的になると呼吸が浅くなり胸式呼吸をしてしまいがちですが、ゆっくりと呼吸することで落ち着きを取り戻すことができます。
まずは、次の①~③の手順で腹式呼吸を練習してみましょう。
- くつろいだ姿勢をとる
- 肺が空っぽになるまでゆっくり息を吐く
- 胸ではなく、お腹が膨らむように気を付けながら鼻から吸う
腹式呼吸を毎日10~15分程度集中して行うだけでも、十分なリラックス効果が得られます。
まとめ
今回は「恐怖症性不安障害」について解説してみました。
特定のコトやモノに対して恐怖を感じるということは、おそらく誰にでもあるのではないかと思います。
今回紹介した恐怖をコントロールする方法を試してみても、克服ができない場合は、一度医療機関で相談してみると良いかもしれません。
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