自律神経を再調整する「自律訓練法」について解説。
こんにちは、精神科医しょうです。
「倦怠感を感じることが多く、外出するのが億劫」「時々めまいがして、手足が冷える」
「胃腸の調子が良くない」「体中、調子が悪いのに、病院で診てもらっても異常はないと言われた」など、このようなつらい症状に悩む人がこの時季は特に多くなります。
新年度で大きく環境がかわり、気候の変動も多いことが要因と考えられ、自分が思っている以上にストレスを感じ、心身のバランスが崩れ「自律神経失調症」を患う可能性が高まると言えるでしょう。
医療機関を受診しても「低気圧症」「更年期障害」「慢性胃炎」などの病名がつけられることもあるようで、対処療法(表面に出ている症状に合った治療をすること)が行われたりします。
しかし、なかなか症状が改善しないことも多いようで、つらい症状を抱えたまま心身が疲弊してしまうことも…。
そんな状況にならないためにも、自律神経の乱れを未然に防ぐ対処が必要になります。
今回の内容は自分で自律神経を再調整する方法と、睡眠のポイントについて触れてみましょう。
自分の個性が自律神経失調症を招く?
自律神経失調症は内臓や器官には異常がなくても、その人の生活習慣の偏りによって、体を働かせる自律神経の機能(交感神経と副交感神経のバランス)が調和を崩すために起こるものです。
そのため、検査では異常が無いことが多く、原因が特定できないことが多くあります。
たとえば、新車の時はどれも同じだった車が、乗る人の運転のクセによって故障したり、不調を起こしたりするのと同じです。
その人の運転方法が悪いというわけではなく、景色を楽しみながらのんびり運転することが好きな人やスピードを楽しむ走り方を好む人など、運転する人の個性が車に表れていると言えるでしょう。
同様に、自律神経失調症になる人の生活習慣にもさまざまなクセが見られますが、それはその人の個性や感性から生じるもので、決して「良い・悪い」の問題ではありません。
ただし、明らかに健康を害する生活を送っていたり、自身の性格によって傷ついたりしているなどの自覚がある場合は、早急に対処する方が心身を守るためにも賢明でしょう。
自分で自律神経を再調整できる「自律訓練法」とは?
「自律訓練法」は抑圧や緊張、自律神経失調の悪循環を断ち切り、人が本来持っている自律性のバランスを回復させるために効果的な方法だと言われています。
禅やヨガなどに通じる「身体から精神へ」の考え方に基づいており、心の緊張を解きほぐし疲労回復を促します。
自律訓練法は誰でもできるセルフコントロール法ですので、一度マスターすれば特別な器具を使わなくても、いつでもどこでもできるようになるかと思います。
ただし、現在医療機関に通院中の方は必ず主治医に相談をした上で、取り組むようにしてくださいね。
やり方としては、以下の通りです。
①楽な姿勢を取る
やや暗めの、なるべく静かな部屋が好ましい環境です。
仰向けに寝ても座ってもかまいません。
②気持ちを落ち着かせる
ゆったりとした気分になるまで自己暗示をかけます。
③手足の重量感を感じる
利き腕から順に重量感を感じ、四肢に暗示を移していくようにしましょう。
緊張を取り、筋肉を緩める効果が期待できます。
四肢の重量感を感じるまでに、2~3週間練習が必要なこともあります。
④手足の温感を感じる
お湯に浸けている、日光に当たっているなどイメージしながら行っていくと良いでしょう。
③と同様に利き腕から順番に暗示していくと、血流が増え手足の温度が上がっていきます。
⑤打消し動作をする
大きな伸びまたは、両手の屈伸などをして、すっきりとした気持ちになって終わります。
区切りを付ける意味で必ず行うようにしましょう。
1日に2~4回ぐらい毎日続けていると、2~5ヶ月ぐらいで効果が表れてくるとされています。
訓練は力まないで自然に行うのが鉄則ですが、落ち着こうとして力むとかえって緊張してしまいます。
その時の意識が効果を左右するので、リラックスのための訓練だと気楽に行うと良いかもしれませんね。
毎日熟睡するためのポイントとは?
自律神経失調症を改善する時に効果的なことは「睡眠」です。
睡眠を取ることは体の疲労を回復させ、脳の機能を正常に保つ効果が期待できます。
心身が疲弊していると感じた時は、まずは睡眠を取ることが最も大切だと言えるでしょう。
しかし、ストレスが多い昨今では寝たくても眠れないという状況に陥ることも少なくなく、薬の力を借りなければならないこともあります。
もし工夫をしても不眠が1週間も2週間も続くときは、自律神経失調症以外にうつ病などの病が隠れていることもあるため、早急に専門医に相談するようにしましょう。
では、毎日熟睡するためのポイントについていくつかあげてみたいと思います。
・一定の睡眠時間をとる
・寝る前に気分転換でリラックスを心がける
・ぬるめのお風呂にゆっくり入って、頭の充血をとる
・空腹の時は消化に良いものをとる
・単調な音楽(水の流れや雨音など)を流し、眠りを誘う
まとめ
今回は自律神経の乱れを未然に防ぐための方法について紹介しました。
生活習慣のクセや性格傾向を今一度見つめなおし、リラックス法など取り入れながら、上手に付き合っていくことで心身のバランスをと整えましょう。
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