本気で結婚したい40代女性が今すべきこと~連載インタビュー(6)47歳で再婚した事例紹介~
「私はいま40歳です。結婚相手を見つけるのは大変だとはわかっています。でも、婚活をがんばっているんです。『あきらめろ』なんて言わないでください」
ある女性から抗議をされた。筆者が本連載で書いた「結婚のあきらめ適齢期。女性は39歳、男性は44歳で婚活をやめて自由になろう」を読んだらしい。ちょっと冷たい印象を受ける内容だったかもしれない。お詫びというわけではないが、識者を訪ね歩いて「40代の女性が本気で結婚したくなったらどうすればいいのか」を考えていきたい。
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33歳のときに離婚し、15年間はシングルマザーをしていて、47歳のときに再婚をした女性がいる。フリー編集者の井上朝子さん(仮名、53才)だ。どのようにして相手を見つけて、再婚生活はどう過ごしているのかについては、こちらの記事を読んでほしい。ここでは40代後半の女性が恋愛と結婚の相手を見つける方法に特化して井上さんの話を聞き直したい。
平日のお昼に東京・飯田橋の熟成肉専門店で待ち合わせをした。井上さんはジーンズ地のスカートと花柄シャツ姿で現れた。華やかで若々しいが「若作り」という印象は受けない。ステーキランチを食べながらインタビューを始めると、井上さんはきさくに回答してくれた。
――井上さんはいつも素敵な服装をされていますね。40代の独身女性のためにファッションアドバイスがあれば教えてください。
私はでかい柄とか派手な服が好きなだけですよ。5歳下の妹からは「お姉ちゃん、いいトシしてその服は痛いよ」と叱られたりしています(笑)。でも、目標とするところはギラギラではなく華やかなおばあちゃんなんです。
最近は、ちょっとオシャレをするときは着物を選ぶことが増えています。着物は洋服よりも質が良くてトレンドに左右されないと思うからです。洋服の流行は若い人に似合うようにできているけれど、着物は年齢を重ねたほうがしっくり来るでしょう。
お値段はそれなりにします。ワンシーズンに3着の洋服を買うのではなく1着の着物を買うようになりました。
着物を身に着けると所作も自然ときれいになります。周りも優しくしてくれますよ(笑)。
――若々しいファッションをすればいい、というわけでないのですね。
若い子たちはかわいいなと私も思いますよ。肌が白くてキラキラしています。外見が人としての魅力の前面に出る時期なのだとも思います。でも、それはいずれ必ず失われるものです。年を取ったら白髪やしわが増えるのは仕方ないこと。私は手入れはするけれど隠そうとは思っていません。
日本の男性は成熟を評価しないというか若い女性が好きな傾向がありますよね。女性もそれについ合わせてしまいます。でも、無理をして「盛って」いる女性を見るのは私は好きじゃないな。外見や話し方、生き方をどんなに盛ったとしても、結婚して日常生活を築いていくときには役に立たなくなります。
それは男の人も同じでしょう。キラキラした外見の男性でも中身が空っぽだったら意味がありません。中身が重要で、外見は少しだけキラッとしていればいいと思います。
――中身を大事にする。具体的にはどういうことでしょうか。
何十年も生きてきたことを自信に感じることだと思います。経験は失うことのないものだから。自分を大事にしていて自分を好きでいること。少なくとも私はそういう人が好きだな。
私の場合は、子どもを育てた経験が揺るぎない自信になっています。子どもがいるから老後が安心だという意味ではないですよ。大した息子じゃないけれど自分が産んで育てたんです。もちろん大変なこともあったけれど、それを含めて自分というパーソナリティの軸になっている気がします。子育て経験は仕事と同じぐらい大きな要素です。
――自信を持つと恋愛や結婚もしやすくなる、ということですか。
恋愛にだけ通用するパーソナリティというのはないと私は思います。人間として輝いていることがまず大事。素敵な女性の先輩たちを見て来て確信しています。
見た目より中身が大事というのは「キレイごと」に聞こえやすい。しかし、少し言葉を交わすだけで無理のないユーモアや気遣いが溢れる井上さんに言われると、「その通りかもしれない」という気分になる。
ただし、そんな井上さんも「若い頃は自信がなくていつも悩んでいた」らしい。子育てや仕事をはじめとする様々な体験が井上さんを強く明るく美しくしたのだ。10代20代の特権が若さならば、40代以降の強みは人生経験なのだろう。
失われていく若さを無理に追いかけるのではなく、いまの生活を真っ直ぐに楽しむこと。そして、今まで生きてきた結果である自分を認めて好きでい続けること。それさえ心がけていれば相性の良い異性が自然と現れる気がする。