結婚の「あきらめ適齢期」。女性は39歳、男性は44歳で婚活をやめて自由になろう
婚活という言葉を作り出して定着させた『婚活の時代』の発売から7年以上が経つ。結婚に向けた諸活動を前向きなものに捉え直した意義は大きい。一方で、婚活を続けても結婚できずに疲れ果てて心身を病んでしまう人も少なくない。
大学受験であれば2浪もすれば志望校をあきらめるのが普通だが、婚活には終わりがない。志望校ならぬ志望異性が次々に現れるので、永遠にチャンスがあり続ける気分になる。しかし、現実は非情だ。容姿も性格も能力も経歴も大きくは変えられないのだから、女性は32歳、男性は38歳を過ぎたあたりから急激にモテなくなっていく。それから5年ぐらいは「志望」を修正しながら相手をがんばって探したとしても、予想以上に厳しい結果に身をすり減らすことを覚悟しなければならない。
物事にはあきらめどきがあると筆者は思う。大手の結婚相談所は「あきらめて退会しろ」などとは絶対に言わないし、友人や同僚は気を遣って何も言えないだろう。親は悲しそうな顔をするだけだ。ならば、男女関係に関する取材と執筆をライフワークにしている他人の筆者がここで断言する。女性は39歳、男性は44歳になったら婚活は卒業したほうがいい、と。
理由は2つある。1つは、この年齢を超えると婚活をしても効果がほとんどなくなってしまうことだ。アラフォーで婚活をしている男性の大半は「子どもが欲しいので30代半ばまでの女性がいい」などと平気で言う。一方で、アラサーの女性は40代後半の男性は「上司に見えてしまう。恋愛感情は持てない」と切り捨てる。かの福山雅治ですら46歳で結婚したことを思い出してほしい。
もちろん、例外はある。「15歳以上年上の男性でもいい」もしくは「同世代(40代)の女性でもいい」という人だ。ただし、相手は何歳になっても「キレイな女性」「若々しい男性」を求めていることが多いので、身だしなみや立ち振る舞いにある程度の自信がある人でなければこの例外にもなれない。
2つ目の理由は、1つ目の結果とも言える。無理に婚活を続けていると快活さよりも悲壮感のほうが強まり始め、体調を崩してしまいやすいのだ。仕事や生活にも支障をきたし、結婚どころか一人暮らしすらも成り立たなくなってしまう。そんな状況に陥るぐらいならば、結婚はさっさとあきらめて一人でも楽しく健康的に生きる道を歩んだほうがいい。
可能性はあまり高くないが、結婚をあきらめたときに結婚相手が見つかることもある。一人で前向きに生きていこうと決めると気分がさっぱりして表情も明るくなり、自然な魅力が出てくるのかもしれない。また、「こういう人とじゃないと一緒になれない」といったこだわりがなくなるため、意外な人と恋愛関係になり、結果として結婚することもある。
筆者は35歳以上で結婚した「晩婚さん」に30人以上インタビューを重ねているが、その多くが「結婚をあきらめて肩の力が抜けたときに相手が見つかった」と証言している。なお、離婚経験者は例外だ。一度は「理想の結婚」に失敗しているため、異性に求めるものが現実的かつ控えめであり、さっさと次の相手を見つけることが多い。
結婚をあきらめて一人で充実した人生を送るためには何が必要なのか。貯金や健康、(婚姻関係ではない)親密な人間関係は不可欠だろう。もう一つ挙げるならば、愛すべきもの、愛情を注ぐに値する対象だ。
筆者のような子なし既婚者も該当する。30代も後半になってくると、「社会や次世代のために何か有意義なことをしたい。ささやかな恩返しをしたい。責任を果たしたい」という気持ちが高まってくるのだ。自分の子どもがいればわかりやすいのだが、いない場合は他に対象を見つけなければならない。甥っ子姪っ子や地域の子どもたちを可愛がる人もいるだろうし、仕事やボランティアに貢献することに生きがいを見出す人もいるだろう。
結婚をしてもしなくても、愛する対象がなければ人生を全うすることはできないのだと思う。婚活はどこかで終止符を打ち、気を楽にして自由になろう。前向きなあきらめは個人の幸せに直結している気がする。
※福山雅治氏の年齢を間違えていたので訂正します。読者の方にご指摘をいただきました。ありがとうございました。11月9日