JR北海道、5月の輸送実績はすべての特急列車で利用者数は前年割れ ダイヤ改正以降の利用者減も明らかに
2024年5月15日、JR北海道は3月のダイヤ改正以降の都市間主要3線区の特急列車の利用状況を発表した。ゴールデンウィーク期間を含む5月の輸送実績は、新型コロナウイルスの5類感染症移行前の前年比でも利用者を落としていたことが明らかとなった。
2月の利用者数は17,300人/日だったのに対して、3月は13,700人と1日当たり利用者を3,600人減らし、4月は11,200人と2月との比較で6,100人、5月は12,900人と4,400人利用者を減らしていた。特に5月の利用状況については、新型コロナウイルスの「5類感染症」移行前の前年との比較で96%の利用にとどまっていた。
この3月のダイヤ改正では、特急列車の指定席を拡大し窓口での往復割引切符を廃止。割引切符は、原則としてえきねっとでの販売に移行された。しかし、前日までの予約が必要なうえに、乗車には紙の切符への引き換えが必要。さらに発券後は変更ができないなど使い勝手の悪さから特急列車の客離れを招き、ダイヤ改正以降はSNS上に空席の目立つ特急列車の様子が相次いで投稿され話題となっていた。
特に、札幌―室蘭間を1時間半程度で結ぶ特急すずらん号では、全席指定席化が行われたほか、正規運賃の利用ではダイヤ改正以前の往復割引切符の2倍程度の金額となる区間もあることから客離れが目立ち、代わりに札幌―室蘭間や札幌―苫小牧間を結ぶ高速バスや、南千歳―苫小牧間の普通列車に乗客が流れ、その混雑状況も話題となっていた。
JR北海道が同時に公開した4月の収入状況では、特急列車の売上を示す中長距離収入については、新型コロナウイルスの「5類感染症」移行前の前年同月比では107.1%と増加しているものの、コロナウイルスの影響がない2019年との比較では83.7%と大幅に収益を落としており、金額換算では約5億円の減収となった。
特急列車の指定席拡大と往復割引切符の窓口での販売廃止は、2月まで回復基調にあった特急列車の客離れを招いていたことが、今回の発表で改めて浮き彫りとなった形だ。再び特急列車の利用状況を回復基調に戻すためには、価格面と販売面で利用者にとって本当に利用しやすいサービス体系に戻すことも必要になるのではないだろうか。
(了)