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今オフに「ファイヤー・セール」の2球団中、一方は閉店!? そうなるともう一方は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
タイラー・マーリー(シンシナティ・レッズ)Sep 26, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、シンシナティ・レッズとオークランド・アスレティックスの両球団は、「ファイヤー・セール」を催した。

 レッズの「開店」は、アスレティックスより早く、ストーブリーグの幕が上がる前に売り出しを始めた。まず、捕手のタッカー・バーンハートをデトロイト・タイガースへ。続いて、先発投手のウェイド・マイリーをウェーバーにかけ、シカゴ・カブスへ譲った。マイリーを手放した経緯については、「カブスに加わったのは、鈴木誠也とクリス・マーティンだけじゃない。エースやクローザー候補に遊撃の名手も」に書いた。

 ロックアウトの終了後には、こちらも先発投手のソニー・グレイをミネソタ・ツインズへ。三塁手のエウヘニオ・スアレスとレフトを守っていたジェシー・ウィンカーは、セットでシアトル・マリナーズへ放出した。

 一方、アスレティックスは、先発投手のクリス・バシットをニューヨーク・メッツ、一塁手のマット・オルソンをアトランタ・ブレーブス、三塁手のマット・チャップマンをトロント・ブルージェイズへ放出している。

 ただ、レッズの「閉店」は、こちらもアスレティックスより早いのかもしれない。放出の噂が出ていた2人、昨シーズンはマイリーとともに3点台の防御率を記録したルイス・カスティーヨタイラー・マーリーは、どうやら手放さないらしい。シンシナティ・エンクワイアラーのボビー・ナイテンゲールや、ジ・アスレティックのケン・ローゼンタールらが報じている。レッズのビート・ライターであるナイテンゲールによると、ニック・クラールGMがそう語ったという。

 実際、クラールGMの発言が報じられるのと前後するタイミングで、レッズは、リリーフ投手のアミーア・ギャレットと交換に、カンザスシティ・ロイヤルズから先発投手のマイク・マイナーを獲得している。補強になるのかどうかはともかく、このトレードは、それまでとは違う動きだ。

 となると、トレード市場における買い手と売り手、需要と供給のうち、後者が減り、アスレティックスの「商品」は、相対的に価値が上がる。

 レッズと同じく、アスレティックスでも、昨シーズンは3人の先発投手が防御率3点台を記録した。すでに放出したバシット以外の2人は、フランキー・モンタスショーン・マネイアだ。彼らのどちらかを欲しがっている球団の一つとして、ファンサイデッドのロバート・マリーはニューヨーク・ヤンキース、MLBネットワークのジョン・ヘイマンはタイガースとツインズを挙げている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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