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韓国の関心は米大統領選 自民党総裁選に興味なし!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
ソウルでの日韓首脳会談(韓国大統領室から)

 韓国は岸田文雄首相が次の自民党総裁選に出馬しないと表明してもほとんど関心を示していない。また、次の総裁の椅子を目指し10人以上の候補が手を挙げ、これから本格的に総裁選がスタートするが、これにも関心を寄せていない。

 岸田首相が8月14日の記者会見で不出馬を表明し、退任の意向を表明して以来、このニュースを韓国のメディアが社説で取り上げたのは大手紙「中央日報」を除き、皆無だった。

 その「中央日報」の見出しも「米・日のリーダーシップ交代・・・激変の国際情勢への対応に隙がないように」と、米大統領と絡めての扱いだった。

 その後、保守系の「朝鮮日報」と「ソウル新聞」及び「ソウル経済」の3紙が8月19日付の社説で日本の政権交代について簡単に触れていたが、それも前日(18日)がキャンプデービッドでの日米韓首脳会談1周年だったからに過ぎない。

 そのことは「朝鮮日報」の「米・日リーダーシップ交代期に迎えたキャンプデービッド1年」、「ソウル新聞」の「韓米日キャンプデービッド合意持続のために努力を」、「ソウル経済」の「韓・米・日リーダーシップ交代でも安保・経済・技術協力のロードマップを繋いでいこう」と題した見出しからも明らかだ。

 韓国には主要日刊紙は地方紙と経済紙を除き、保守系の「東亜日報」から進歩系の「ハンギョレ」まで約12紙あるが、岸田首相の総裁選不出馬を単独で社説で取り上げたのは23日現在、1紙もない。

 それもこれも韓国にとって気掛かりなのはバイデン大統領が立候補を取りやめた米大統領選で、自民党の総裁選には無関心である。それもこれも自民党総裁選により首相が変わっても日韓関係は変わらないとみているからに他ならない。

 例えば、「ソウル経済」の社説は「自民党の政権が続く日本は外交戦略に大きな変化はないものとみられるが、米大統領選で同盟を軽視し、金正恩(キム・ジョンウン)政権との協商を秤にかけようとするトランプ前大統領が再執権した場合、韓米日の協調構図がぐらつく可能性を排除できない」と、韓国の関心が米大統領選に向けられていた。

 また、「朝鮮日報」も同様に「同盟を金銭論理でみる共和党のトランプ候補が再執権した場合、キャンプデービッド首脳会談の成果が紙くずになってしまうとの見方もある。また、民主党候補のハリス副大統領がバイデン大統領の功績を重視、継承するのではなく、むしろ差別化する対外政策を出さないとも限らない」とし、こうした不確実に備え、キャンプデービッドの成果を正常化するよう急ぐべきであると主張していた。

 かつて北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席は韓国について「米国と日本の2本の紐で支えられている冠」に例え、どちらかが1本切れれば、韓国は落ちると、コケにしていたが、今日では韓国は「克日」を口にするほど、自信満々で日本なしでもやっていけると思っているからこそ、日本の政局に関心を払わないようだ。換言すれば、それだけ日本の韓国への影響力が低下していることを表している。

 また、かつての韓国ならば首相となる自民党の総裁候補について親韓度から歴史認識まで「品定め」をしていたが、今のところ、候補者がまた絞られていなこともあってそうした記事も見受けられない。

 それでも尹政権としては日本の次期総理としては内心、尹大統領と太いパイプのある麻生太郎自民党副総裁や日韓議員連盟会長に就任したばかりの菅義偉前首相の息のかかった候補が望ましいと考えているようでもある。

 不思議なもので、首相経験者である麻生、菅両人とも以前は「右翼政治家」「反韓人士」として韓国でブラックリストに載っていた政治家である。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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