20周年を迎えた「iPod」、存在感は薄れてきたが意外な場所で活躍中
10月23日(米国時間)、アップルの音楽プレイヤー「iPod」が2001年10月の発表から20周年を迎えました。その役割はアプリに移行し、存在感は薄れつつあるものの、意外な場所で活躍しています。
アップルが初代iPodを発表した2001年、デジタル音楽には90年代後半に登場した「MP3」の影響でまだアングラな印象が残っていました。そこに挑戦したアップルは2003年にデジタル音楽のストア「iTunes Music Store」を立ち上げ、覇権を握ることに成功します。
その後のiPodはストレージ技術とともに進化。フラッシュメモリーを採用した「iPod shuffle」「iPod nano」では本体形状の小型化が進みました。しかし2007年、現在まで続くシリーズ「iPod touch」の登場で再びiPodは大きくなります。
初代iPod touchのベースになった初代iPhoneは日本で発売されなかったこともあり、最初の「iOS」(当時はiPhone OS)体験が初代iPod touchという人は多いのではないでしょうか。筆者も2007年9月の発売日に購入したのを覚えています。
タッチパネルに触れると滑らかに動く画面は衝撃的で、当時プログラマーとして働いていた筆者は「これで自由にアプリを作れたら世界が変わりそう」と興奮しました。(ただ正直に言うと、これで電話をする人はまずいないだろう、とも思っていました)。
いまではiPodの機能は「ミュージック」アプリとして残っており、iPhoneやiPad、Macはもちろん、Apple Watchでも使えます。最近のモデルなら初代iPodよりも大きい最大8GBまで音楽を保存可能。BluetoothでペアリングしたAirPodsで聴くことができます。
安価なiOS端末として店舗で活躍中
先週、アップルのWebサイトにはちょっとした変化がありました。最上部の「Music」タブ内にあったiPod touchへのリンクが消滅し、いまではページ下部のメニューに残るのみとなっています。
ハードウェアとしてのiPodシリーズはそろそろ役割を終えつつあるように感じるかもしれませんが、意外な場所で活躍しています。それが業務用端末です。
たとえばリクルートライフスタイルの飲食店向けシステム「Airレジ ハンディ」では、月額1万3200円のプランで店員用のオーダー入力端末として5台までのiPod touchやiPhoneを登録できます。
iPod touchには電話などの機能がなく、基本性能も最新のiPhoneには及ばないものの、業務用のアプリを動かすには十分なレベル。本体は88グラムと軽く、32GB版で税込2万3980円という安さも魅力です。
もちろん機能的に上回るiPhoneでも代わりは務まりますが、最も安価なiOS端末としてのiPod touchは唯一無二の存在。いつまで供給が続くのか気になるところです。
追記:
2022年5月10日、アップルはiPod touchについて在庫限りで販売を終了することをプレスリリースで発表しました。音楽を楽しむ方法として他のアップル製品を紹介していることから、iPodシリーズ全体の製品展開を終えるようです。