5月台風の沖縄接近は2015年以来 過去には70億円超の被害も
【台風2号の動きに注意】
5月24日(水)午後9時現在、非常に強い勢力の台風2号は、マリアナ諸島付近をゆっくりとした速さで北西進中です。中心気圧は940hPa、中心付近の最大風速は50m/s。今後も発達しながら西寄りに進み、27日(土)には猛烈な勢力でフィリピンの東海上に進み、中心気圧は905hPa、中心付近の最大風速は55m/sの見通しです。その後、29日(月)には非常に強い勢力で沖縄の南海上に進む見込みで、警戒が必要です。
【5月台風】
5月の台風の発生数の平年値は1.0個、そのうち沖縄地方への5月の台風接近数の平年値は0.4個となっています。(1991年から2020年の平年値)
【5月台風・沖縄への接近は2015年以来】
2021年は4月に沖縄地方へ台風の接近が1個ありました。5月に接近する台風としては、2015年以来となります。
【2015年 台風6号】
2015年5月4日午前3時にカロリン諸島近海で発生した台風6号は西寄りに進み、 10日の午前9時にはフィリピンの東で中心気圧920hPa、中心付近の最大風速55m/sの猛烈な勢力となりました。その後、進路を北東に変え11日夕方から12日の明け方にかけて先島諸島を通過し、12日午前5時には久米島の西約40kmの海上を、北東に時速60kmの速い速度で通過しました。
沖縄県などによりますと、石垣市で床下浸水や船舶の被害があったほか、沖縄本島地方で倒木による通行止めや空・海の便で欠航が相次ぎました。
【2011年 台風1号】
以前の記事でも触れましたが、2011年5月は台風1号と台風2号が続けて沖縄に接近。1号、2号の連続接近は初めての事でほぼ同じようなコースをたどり、ダブル台風が沖縄を直撃しました。
2011年5月11日に中心気圧996hPa、中心付近の最大風速18m/sの強さで、宮古島の東から沖縄本島へ接近。
暴風域はなく、12日に九州の南海上で熱帯低気圧へ変わりました。
【2011年 台風2号】
2011年の台風2号は、5月26日にフィリピンの東で中心気圧920hPaで猛烈な勢力に。28日、中心気圧940hPa、中心付近の最大風速45m/sの非常に強い勢力で宮古島にかなり接近した後、沖縄本島へ。
先島諸島、沖縄本島地方が暴風域に入りました。本島地方ではまとまった雨が降らず、風台風となりました。
同月29日に本州の南海上で温帯低気圧へ変わりました。
【5月台風 被害額70億円超・過去最悪】
(塩害で収穫前の農作物に大ダメージ)
2011年、台風2号接近時の雨量は沖縄本島地方で50mm程度だったのに対し、那覇市の最大瞬間風速は5月の記録を更新し55.3m/sの暴風となりました。(南南西の風)
台風で巻き上げられた海水が農作物に付着したまま雨で流されず、塩害による立ち枯れで収穫が本格化する前の農作物、マンゴー、ゴーヤー、葉たばこなどに大きな被害が出ました。
時期外れの台風接近により農林水産被害額は夏の台風被害を上回り、過去最悪の70億円を超えました。(県・農林水産部発表)
今後の農業計画の見直しなども検討されています。
(それまでの台風による被害額トップは2003年の7月(台風14号)、65億9800万円。)
沖縄ではこの時期は梅雨シーズンです。例年だと本格的な台風への備えはまだ出来ていない状況ですが、今年は油断をせずに早めの対策が必要です。