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エンジェルスがFA市場から手に入れたのはリリーフ投手3人。これから大型補強に動くのか、それとも…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ルイス・ガルシア Sep 6, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ここまでに、ロサンゼルス・エンジェルスがFA市場に出ていた選手と交わしたメジャーリーグ契約は3件だ。それぞれ、アダム・コレアリックと1年90万ドル、ルイス・ガルシアと1年425万ドル、アダム・シンバーと1年165万ドル。彼らは、エンジェルスでブルペンメイトとなる。

 来シーズンの年齢(6月30日時点)は、35歳と37歳と33歳。3人とも、70試合以上に登板したシーズンがある。クローザーを務めたことはなく、1シーズンの最多ホールドは、ガルシアが20、コレアリックとシンバーは19だ。今シーズンは、コレアリックが5登板で防御率0.00、ガルシアが61登板で防御率4.07、シンバーは22登板で防御率7.40を記録した。

 彼らの契約は、計680万ドルに過ぎない。もしかすると、ここから、エンジェルスは、先発投手や野手に金を費やすつもりなのかもしれない。

 一方、このまま、大きな補強は行わないことも考えられる。再建を始めるにしても、完了するまでの期間にプレーする選手は必要になる。今シーズン、エンジェルスでリリーフとして20試合以上に登板した9人のうち、現在も在籍しているのは、半数以下の4人だ。ちなみに、今シーズンのブルペン防御率は4.88。ア・リーグで4番目に高かった。

 あるいは、再建を進めるための「ピース」として、3人を迎え入れた可能性もある。来シーズンの前半に彼らが好投すれば、夏のトレード市場で欲しがる球団はあるはずだ。例えば、3年契約の1年目だと、残る契約の支払いを鑑みて、獲得を見送る球団があってもおかしくない。だが、彼らの場合、そうはならない。

 言ってみれば、今シーズンのアロルディス・チャップマン(現FA)のようなパターンだ。昨オフ、カンザスシティ・ロイヤルズは、チャップマンと1年375万ドルの契約を交わした。そして、6月末にテキサス・レンジャーズへ放出し、コール・レイガンズロニー・カブレラを獲得した。この2人は、投手と外野手。トレードの時点では、25歳と17歳だった。レイガンズは、移籍前のリリーフ17登板で防御率5.92に対し、移籍後は先発12登板で防御率2.64を記録した。

 エンジェルスが手に入れた3人は、チャップマンほどの大物ではない。トレードの見返りも、大きくはないだろう。とはいえ、掘り出し物となる「原石」を手に入れるチャンスはある。また、例えば、内野手とリリーフ投手をどちらも欲している球団に、ブランドン・ドゥルーリーと3人のうち誰かをセットにして放出すれば、見返りを大きくすることもできる。

 今オフに加わった3人だけでなく、ドゥルーリーも、来オフにFAとなる。他には、クローザーのカルロス・エステベスも、そうだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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