天王星と海王星クラス!1800光年彼方の惑星系で「巨大氷惑星同士の衝突現象」を史上初観測か
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「巨大惑星同士が衝突する瞬間を史上初観測か」というテーマで動画をお送りしていきます。
地球の10倍以上重い巨大氷惑星である天王星と海王星が万が一衝突したら、少なくともとんでもない事態になることは想像に難くありません。
地球の衛星である月を形成したのも、天王星の自転軸が極端に傾いているのも、惑星サイズの巨大天体同士の衝突現象によるものであると考えられています。
巨大惑星の衝突現象は、その惑星系に何十億年にもわたって消えることのない痕跡を残すほど、非常にエネルギッシュな現象です。
そして今回新たに、かつて太陽系で起きたものと比べても遥かに大規模な衝突現象が実際に起きて、その観測に成功した可能性があります。
●奇妙な増光天体「ASASSN-21qj」
数年前、地球から約1800光年彼方にある「ASASSN-21qj」という、年齢が3億歳とかなり若い太陽程度の質量を持つ恒星の光度が、前触れもなく4%も上昇しました。
放射が強まったのは赤外線の波長であり、その増光はなんと約1000日間も続いたそうです。
さらに不思議なことに、最初の赤外線増光を捉えてから2年半後の2021年12月には、同じくASASSN-21qjからやってくる今度は可視光が大幅に暗くなり、約500日間も暗い期間が続きました。
赤外線の増光期間と可視光線の減光期間は部分的に重なっていたそうです。
●ASASSN-21qjで何が起きた?
オランダのライデン大学などの研究チームは、前述したASASSN-21qjの光度変化を上手く説明できるようなシナリオを考え、この惑星系で起きていた出来事を解明しようと試みました。
結論としては、地球の数倍の質量を持つ、天王星や海王星サイズの2つの巨大氷惑星同士が、主星から2~16天文単位の地点で衝突した説が有力です。
この惑星衝突によって、衝突後の天体をドーナツ状に取り巻く、気化した岩石の塊が出現しました。
このような構造は一般的に「シネスティア」と呼ばれています。
シネスティアの中心部は高温で、この部分から約1000日間にわたって強い赤外線が放射されたと見られています。
具体的には太陽半径の7倍(地球半径の約750倍)の大きさで、表面温度が約1000K(約700度)に相当する領域があれば、実際に観測された赤外線の増光を上手く説明できるとのことです。
その後シネスティアは徐々に拡散して冷えていき、衝突から約1000日後に、地球から見て主星の前を横切りました。
これがASASSN-21qjからの可視光が約500日間にわたって減光していたことを上手く説明します。
シネスティアは今後数百万年という長い期間かけてゆっくりと冷えて縮小していき、一般的な惑星のような形状に落ち着いていくと考えられています。
ASASSN-21qjで数年にわたって観測された光度変化の説明として現在有力視されているこの「巨大惑星衝突説」は、ASASSN-21qjがわずか3億歳であり、惑星系全体でこのような天体衝突が発生しやすい時期であることとも辻褄があいます。
ASASSN-21qjで何が起きたのかをより詳細に理解するため、ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡などによる追加の観測が求められています。