【東京土産】お芋なのに芋はゼロ。江戸っ子に約130年愛される老舗の銘菓「黄金芋」のニッキに誘われて
安産祈願のご利益でも有名な御宮、水天宮。お宮参りの御宮としても名高い水天宮には、休日平日問わず子供たちの健やかな成長を願う家族連れで賑わっています。
そのすぐ傍らでお店を営むのが、創業約140年の「京菓子司 壽堂」さん。深い紺青色の立派な暖簾が風にはためく素敵なお店では、京都で修行された初代から続く、練り切りなどの上品な季節の上生菓子が揃います。
ですが、忘れてはいけない名物がもうひとつ。約130年の歴史をもつ、人形町だけではなく東京の銘菓のひとつといっても過言ではない和菓子が販売されているのです。
今回は、一度嗅いだら忘れられないニッキが印象的な「黄金芋」をご紹介。
鮮やかな金糸雀色の包装紙に、キャンディのように包まれた黄金芋。開封前からすでにニッキの華やかな香りが立ち上ります。
7センチほどの長さの黄金芋は、贅沢に満遍なくニッキを纏いころりとした温もり溢れるさつまいものような容姿も印象的。「ころり」と表現したのには訳があり、それはその製法から。
一般的な焼きまんじゅうに比べると極薄皮の小麦粉の皮で、白餡に黄身を混ぜた黄身餡を包み、ニッキを塗して一度約400度まで熱した窯にて高温で丸焼きに。そのためいわゆる成型してから鉄板に乗せてオーブンで焼き上げる焼き菓子とは異なり、立体的でまるみを帯びた独特な形に。その証拠に、中の餡には串の跡が。
鉄板に接する面が無い分、芳しいニッキを全体で味わうことができるのも嬉しいところ。
そのお味はと申しますと、パッと花開くようなニッキの風味が口全体に広がったかと思えば、中から顔を出すまろやかで包装紙と同じような金糸雀色の黄身餡が絡み合い、甘味と刺激のバランスが絶妙な味わいに。
皮が薄くともサクサクといった軽やかさではなく、適度にしっとりとした黄身餡の舌触りの妨げにならないような食感にも好感が持てます。ゆっくりゆっくりと舌の上で黄身餡を味わい呑み込んだあとも、目を細めてニッキの清涼感に浸れば、もう一口、さらにはもう一本と手も口も止まりません。
温かいお茶や珈琲は勿論、ウイスキーのロックに合わせればまたハイカラで大人の表情に。
壽堂さんの女将曰く、
「さつまいもよりもずっと高級なニッキと黄身餡のお菓子を、お芋だよ。なんてサラリとお土産に渡す江戸っ子の粋ですね。」
とのこと。かつては花街としても一面もあった人形町では、何度かそういったシーンが実際にあったのかもしれませんね。
芋類は使用していないものの、芋菓子とよばれるさつまいもを模したお菓子の原点ともいわれている壽堂さんの黄金芋。発売された当時はかなり珍しかったようで、同封されているリーフレットには「新奇」「珍菓」の文字が…
発売された当初は、そう称されるお菓子が人形町の定番のお土産になると思っていた方はかなり少数だったのではと推量。
「モダン」が「トラディション」と呼ばれるまでの歴史に触れられたような気がしました。
こちらはパック売りだけではなく、ご進物にもぴったりな化粧箱入りのご用意も。お友達から目上の方まで、幅広い年齢層の方への御宮参りや旅行のお土産にぴったり。
お日保ちも1週間、常温での保存なので持ち歩きも安心ですね。
<京菓子司 壽堂>
東京都中央区日本橋人形町二丁目1-4
0120-480-400
9時~18時30分
東京メトロ半蔵門線「水天宮前」駅7番口目の前