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世界で高温記録が続出 アフリカでは大陸記録更新か

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
アルジェリアのサハラ砂漠(写真:アフロ)

暑さの記録更新が止まりません。

先月中東オマーンで、夜間気温の世界最高記録ともされる42.6℃が観測されましたが、今度はアフリカ史上最高気温が観測された可能性がでてきました。

アルジェリアで51.3℃

アフリカ北部アルジェリアのウアルグラで5日(木)、日中の最高気温が51.3℃まで上がりました。

ウアルグラはサハラ砂漠に位置し、石油産業が盛んな人口20万人規模の街です。7月がもっとも暑く、この時期の最高気温の平均は43℃です。今回はそれを8℃も上回る暑さとなりました。

これまでのアフリカ記録

これまでのアフリカの記録は、1931年にチュニジア・ケビリで観測された55℃とされています。つまり今回の51.3℃よりも、約4℃も高い記録なのです。

しかしその数値の信頼性について、多くの研究者が疑問を投げかけています。今回の51.3℃の高温を受け、気象記録を管理する世界気象機関が再び検証を行えば、この記録が無効となり、アフリカ記録が更新される可能性があるようです。

幻の「58℃」

ところで、ものの本には、世界の最高気温記録がリビアの「58℃」と記してあるものがあります。これは1922年9月にエルアジジアで観測された気温で、一時アフリカ記録であると同時に、世界記録ともなっていました。

しかし後の検証で、観測器に問題があったことなどが判明し、この数値は記録から外されました。現在の正式な世界最高気温記録は、1913年7月にアメリカ・デスバレーで観測された56.7℃となっています。

世界各地でも記録的高温

こうした記録的暑さは、アフリカだけにとどまりません。この夏、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど広い範囲で記録が更新されているのです。

筆者作成
筆者作成

去年の世界平均気温は、2016年に続いて史上2番目の高温となりました。今年もまた記録的に暑い年となる可能性が高まっています。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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