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直近では3394館、漸増する図書館数…図書館や博物館数動向(2023年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
図書館は知識の源であり憩いの場。数は増えているのか減っているのか(写真:アフロ)

知識の源となる図書を保存し貸し出し業務を行う図書館。知的文化施設として欠かせない存在の一つだが、その数は増えているのか否か。その実情を文部科学省の定点調査「社会教育調査」(※)の公開資料から確認する。

最初に示すのは、日本における図書館、あるいはそれに類する施設の数。博物館、さらには博物館類似施設の動向も示しておく。最新値は2021年度分。

また博物館と博物館類似施設の違いだが、前者は博物館法第2条に規定する施設。博物館法に定められた各種要件を満たしている(開館日が年150日以上であることなど)のが条件となる。後者は博物館と同種の事業を行い、博物館法第29条に規定する、博物館と同等の施設。要は博物館ほどの厳格さでは区分に入らないが、博物館的な施設のことを指す。

↑ 図書館や博物館数
↑ 図書館や博物館数

2008年度をピークに博物館類似施設がいくぶん減る傾向にあるが、それ以外はおおよそ少しずつながらも増加する傾向を示している(博物館も直近で多少ながらも減少してしまっている)。図書館は直近では3394館。もっとも古い1955年度の742館と比べ、4倍以上もの増加を示している。

図書館数が増えれば当然利用者数も増加するはず。そこで全体の年間施設利用者数と、図書館1館あたりの平均利用者数を確認したのが次のグラフ。年間利用者数のカウントなので、特定時期における館数を示した最初のグラフとは1年ずれた値であることに注意。つまり直近のデータは、館数は2021年10月1日時点、利用者数は2020年度一年間分(2020年4月から2021年3月)の値を示している。

↑ 図書館(同種施設含む)の年間施設利用者数と1図書館あたりの平均利用者数
↑ 図書館(同種施設含む)の年間施設利用者数と1図書館あたりの平均利用者数

仮に図書館を利用する層に変化が無ければ、図書館数が増えても分散化するだけで、利用者は増えない。しかし図書館数の増加とともに利用者数も増加を続け、2020年度では1年間に延べ1.4億人強の人が利用している計算になる。さらにいくぶんのイレギュラーな動きがあるが、図書館単位での利用者数も増加し、1954年度当時と比べて2020年度では4倍ほどの利用者増が確認できる。ただし2010年度をピークに、施設利用者数・1図書館あたりの平均利用者数ともに減少に転じているようにも見える。もう少し経過観測が必要な状況に違いない。

さらに直近2020年度では年間施設利用者数と1図書館あたりの平均利用者数の双方が大きく減っているが、これは新型コロナウイルスの流行で外出忌避の傾向が生じたことに加え、密室となる図書館を忌避する動き、さらに図書館そのものが臨時閉館することも少なからずあったがためだと考えられる(【No.19 公立図書館における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応】)。

図書館数が増え、利用者全体数が増え、図書館単位での利用者数は少なくとも減少はしていない。雑誌や書籍などの出版業界の動向はまた別だが、少なくとも本離れ、読書離れといった状況は現実としては起きていないと判断できる状況に違いはあるまい。

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※社会教育調査

文部科学省がほぼ3年おきに実施している、「社会教育行政に必要な社会教育に関する基本的事項を明らかにすることを目的とする」調査。原則的に全数調査によるもの。調査開始は1955年。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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