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8位が2位を手玉にとっての大金星

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今季でNBA3年目となるロスアンジェルス・クリッパーズの背番号14、テレンス・マンが、14日のゴールデンステイト・ウォーリアーズ戦で大暴れした。39分5秒のプレーで25得点をマークし、119-104での勝利に大きく貢献。

 現在、西地区2位のウォーリアーズに対し、クリッパーズは8位。クリッパーズでは、好調を維持するウォーリアーズの牙城を崩せないであろう、という見方がメディア内では一般的だった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 だが、この日は同じアリーナを使用するレイカーズに負けず劣らずの19068人の観客がクリプトドットコム・アリーナに詰め掛け、クリッパーズを後押し。昨シーズンの覇者、ミルウォーキー・バックス戦よりもファンの数は多く、アリーナは満員御礼となった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 クリッパーズのPG、レジー・ジャクソンをして「前半は、俺たち5人がステフィン・カリー一人と戦っているように感じた。強豪との戦いは実に楽しかったね」と言わしめたように、2015年、2017年、2018年と3度NBA王者となったスターが、1Qだけで16得点、2Qのみで10得点とゴールを重ねる。

 しかし、ジャクソンの言葉には、裏を返せば危険な相手はカリーだけで、ウォーリアーズのPGさえ封じ込めれば活路を見出せるという意味合いも含まれていた。実際、ハーフタイム時点で、クリッパーズは61-59と、僅かながらリードを見せる。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ハーフタイム時点でのマンは7得点だったが、3Qをフル出場し、7本中6本のシュートを成功させて14ゴール。同Qだけのスコアなら33-19で、クリッパーズが完全に流れを掴む。

 終わってみればマンは25ゴールに加え、7リバウンド6アシストも記録していた。

 試合後、マンは言った。

 「前半は楽じゃなかった。ステフィンのミスは一度のファンブルだけ。あとはしてやられたね。選択肢が無い状態だったけれど、何とか彼に食らいついてポゼッションしようと思った。それしか無かったな」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この日のカリーは、3ポイントでの8ゴールを含む33得点。ただ、スターティング5人全員が2桁得点したクリッパーズに対し、ウォーリアーズは他のメンバーの出来がもう一つであった。

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 マンは昨シーズンのプレイオフ、ユタ・ジャズとの第6戦で39ゴールの働き振りを見せ、ブレイクした感があったものの、なかなかスターティングで起用されなかった。が、出番が来たら自分の存在をアピールしてやる! とばかりに周到な準備を重ねてきた。

 試合前のウォーミングアップには常に早目に姿を現し、シュート練習を行うと映像で自身のフォームをコーチと共にチェック。こうした小さな積み重ねが、今日の勝利に結びついたようだ。

 25歳と伸び盛りのマン。今後が楽しみな選手である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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