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5日間に2度の押し出しサヨナラ四球。今シーズンはハイペース。史上最も劇的なサヨナラ四球は17年前

宇根夏樹ベースボール・ライター
ヤズマニ・グランダル(ロサンゼルス・ドジャース)April 16, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

5日間に2度、押し出し四球によるサヨナラ勝ちが起きた。6月15日はタンパベイ・レイズのローガン・モリソン、19日はロサンゼルス・ドジャースのヤズマニ・グランダルが四球を選び、チームに勝利をもたらした。今シーズンはその前にも、2度のサヨナラ四球(ウォーク・オフ・ウォーク)が発生している。

今シーズン、サヨナラ勝ち(もしくはサヨナラ負け)は80試合あり、サヨナラ四球はそのうちの5.0%に過ぎない。だが、この割合だけで少ないとは判断できない。例えば、サヨナラ勝ちの38.8%を占める本塁打は、塁上に点差と同数かそれ以上の走者がいれば起こり得るが、四球や死球の場合、同点の満塁に限られる。

過去5年とも、シーズン全体のサヨナラ四球は4度ずつだった。今シーズンはまだ半分以上の試合を残しながら、すでにそれと肩を並べている。このペースでいけば――サヨナラ四球にペースがあるのかどうかはさておき――2004年(11度)以来の2ケタに達するかもしれない。

現役選手では、エイドリアン・ベルトレー(テキサス・レンジャーズ)とラッセル・マーティン(トロント・ブルージェイズ)が、サヨナラ勝ちとなる四球を2度ずつ選んでいる。一方、フェルナンド・ロドニー(サンディエゴ・パドレス)は2度、押し出し四球を与えてサヨナラ負けを喫している。昨年8月17日のサヨナラ四球は、打者がベルトレーで、投手はロドニーだった。

ちなみに、ポストシーズンでも1度だけ起きており、これこそ、史上最も劇的なサヨナラ四球だろう。ニューヨーク・メッツとアトランタ・ブレーブスが対戦した、1999年のリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第6戦。11回裏からマウンドに上がったメッツのケニー・ロジャースは、二塁打と送りバントで1死三塁とされた後、敬遠四球で2者を歩かせて満塁とし、打席にアンドルー・ジョーンズを迎えた。フルカウントからロジャースが投じた球は、外角高目に大きく外れ、ブレーブスのワールドシリーズが進出が決まった。

なお、このシリーズの第5戦では、メッツのロビン・ベンチュラ(現シカゴ・ホワイトソックス監督)がサヨナラ・グランドスラム・シングルを放っている。ベンチュラは15回裏に満塁ホームランを打ったが、二塁へ達する前に歓喜するチームメイトに囲まれ、それ以上は進まず、記録はシングル(単打)となった。この時、一塁走者だったトッド・プラットは、その直前に同点に追いつく押し出し四球を選んだ。サヨナラではないものの、こちらも値千金の四球だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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