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ワールドチャンピオンの新クローザーは、かつて広島カープで投げたあの投手!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ライアン・ブレイジャー(ボストン・レッドソックス)Oct 9, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ワールドシリーズ優勝を飾ったボストン・レッドソックスから、クレイグ・キンブレルがFAになった。レッドソックスはクオリファイング・オファーを申し出ているが、キンブレルが受け入れることはないだろう。再契約の可能性も、そう高くなさそうだ。

 キンブレルがいなくなると、来シーズン、レッドソックスは新たなクローザーが必要となる。MassLive.comのクリストファー・スミスらによると、ベースボール運営部門の責任者を務めるデーブ・ドンブロウスキは、11月1日にフェンウェイ・パークでこう語ったという。「球団内に候補が何人かいる状況。有力なのは、マット・バーンズライアン・ブレイジャーだ。現時点のキャリアにおいて、彼らはキンブレルではない。だが、クローザー・バイ・コミッティで臨むつもりはない」

 バーンズとブレイジャーの2人は、歩んできたキャリアも投球のスタイルも違う。バーンズは球団生え抜きの選手だ。2011年のドラフトで全体19位指名を受け、2014年にメジャーデビューした。一方、ブレイジャーは今年3月にマイナーリーグ契約。それまでのメジャーリーグ経験は2013年の7登板しかなく、2017年は「ブレイシア」として広島東洋カープで投げた。

 4シームの平均球速はともに97マイル近いが、奪三振はバーンズが多く、制球はブレイジャーが勝る。今シーズン、バーンズは62試合に登板して防御率3.65、奪三振率14.01、与四球率4.52、ブレイジャーは34登板で防御率1.60、奪三振率7.75、与四球率1.87を記録した。バーンズはカーブ、ブレイジャーはスライダーをメインの変化球とする。

 もちろん、来シーズンのクローザー候補が2人に絞られたわけではない。オフシーズンは始まったばかりだ。FA市場に出ている投手との契約や、トレードによる獲得もあり得る。ドンブロウスキのコメントのうち、確定しているのは、締めくくりに複数の投手を起用するクローザー・バイ・コミッティではなく、誰かにクローザーを任せるということくらいだろう。

 ただ、ブレイジャーにもチャンスがあることは間違いない。バーンズはメジャーリーグだけでなく、大学とマイナーリーグでも、クローザーとしては投げていない。ブレイジャーはマイナーリーグで通算78セーブを記録していて、今シーズンも、7月上旬に昇格するまではAAAでクローザーを務め、14セーブ機会中、失敗は1度しかなかった。

 ちなみに、日本プロ野球で投げた後、メジャーリーグでシーズン30セーブ以上は、日本人投手の佐々木主浩大塚晶則斎藤隆を除くと、2000年に横浜ベイスターズで11登板し、2012年にコロラド・ロッキーズで31セーブを挙げたラファエル・ベタンコートしかいない。リッチ・ゴセージロン・デービスボビー・シグペンは、順序が逆だ。3人とも日本プロ野球の前に、メジャーリーグでシーズン30セーブ以上を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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