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ア・リーグの首位打者レースは意外な接戦に。シーガーは打率.331、ディアズは打率.328

宇根夏樹ベースボール・ライター
コリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)Sep 24, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ナ・リーグの首位打者は、打率.353のルイス・アライズ(マイアミ・マーリンズ)が獲得しそうだ。2位のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は打率.336。そこには、17ポイントの差がある(.001=1ポイントとして表記)。昨シーズン、アライズはミネソタ・ツインズで打率.316を記録し、ア・リーグの首位打者となっている。この時の2位は、打率.311のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)だ。アライズは、ジャッジの三冠王を阻んだ。

 一方、ア・リーグの首位打者の行方は、混沌としてきた。こちらのトップ2は、打率.331のコリー・シーガー(テキサス・レンジャーズ)と打率.328のヤンディ・ディアズ(タンパベイ・レイズ)だ。その差は、3ポイントしかない。

 今シーズン、シーガーは、故障者リストに2度入っている。そのため、8月末までは打席数が足りず、ランキングの対象外だった。対象となった9月1日時点の打率は.345。ランキングのトップに躍り出たのみならず、それまで1位にいたディアズに21ポイント差をつけていた。

 9月2日以降の打率は、シーガーが.275,ディアズは.351だ。シーガーは、不振に陥ったわけではなく、このスパンの22試合に長打14本、ホームランと二塁打を7本ずつ打っている。ちなみに、このスパンにおけるディアズの長打は、21試合で11本。ホームラン4本と二塁打7本だ。

 レンジャーズのレギュラーシーズンはあと6試合、レイズは5試合。ここからの6試合で、シーガーが直近6試合と同じ25打数7安打(打率.280)を記録すると、シーズン全体の打率は.328となる。ディアズの直近5試合は、17打数8安打(打率.471)。ここからの5試合で、それを再現した場合、シーズン打率は.332だ。

 ただ、ディアズは、9月24日の試合中に右太腿裏の張りを訴え、2打席目を終えたところで交代した(翌日の試合はなし)。レイズは、地区首位のボルティモア・オリオールズを追っていて、その差は2.5ゲームだが、すでにポストシーズン進出は確定している。レイズの白星はリーグで2番目に高く、地区優勝なら、ワイルドカード・シリーズをスキップし、ディビジョン・シリーズからのスタートとなる。けれども、出場できるようであってもディアズを休ませ、ポストシーズンに万全の状態で臨ませる、という選択肢もなくはない。

 もし、シーガーがここから25打数7安打、ディアズは5試合とも欠場なら、シーズン打率はどちらも.328だが、シーガーがわずかにディアズを上回る。

 なお、レンジャーズは、地区首位に立ち、ヒューストン・アストロズに2.5ゲーム差をつけている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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