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自民党総裁選挙の候補者が「早期解散」を支持しないワケ。そこにある「麻薬」とは

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2024年の自民党総裁選挙は、史上最多の9名が立候補した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

9月27日に投開票が予定されている自民党総裁選挙は、12日に告示され、9名が立候補した。15日に放送されたNHK「日曜討論」では、小泉進次郎元環境相が、総理総裁になれば衆議院を「できる限り早期に解散」と公言したが、他の8名から異論が出た。

「小泉進次郎氏 孤立…早期解散に8候補NO 自民総裁選」(日刊スポーツ:Yahoo!ニュース)

では、なぜ「早期解散」に踏み切りたくないのだろうか。

選挙準備には時間を要するからすぐには解散できないのだろうか。選挙準備は、与党だけでなく野党もできる。与党に選挙準備をするいとまがあれば、野党も選挙準備ができるわけで、早期解散を見送っても、必ずしも与党有利になるとは言えない。

政権としてきちんと政策スタンスを国民に示してからでないと、国民に信を問えないから、解散までに時間が必要なのだろうか。ただ、政策スタンスを明確に示したからといって、与党が必ず勝てるというわけではない。解散権を持つ首相が、自らにとってわざわざ不利な時期に衆議院の解散に打って出ることはない。

では、せっかく就いた総理総裁の座に1日でも長くいたいからなのか。衆議院を早期解散して総選挙で絶対勝てるならまだしも、自民党支持率が回復しきらない中で早期に解散しては、下手をすると総理総裁の座を明け渡さなければならないということを心配しているのだろうか。

それは大した理由ではないかもしれない。

実はこの時期だからこそ、自民党総裁選挙の候補者が意識してもおかしくない案件がある。それは、政権にとって「麻薬」ともいえる代物である。早期解散を支持しないワケは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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