なでしこ予選敗退 手のひら返しのマスコミにモノ申す その報道姿勢は経営理念に則っているのか?
なでしこジャパンのリオデジャネイロ五輪・アジア最終予選の敗退が決定したことを受けて、各マスコミが手のひら返しで酷評記事を書いている。
当然、敗因を検証する記事は必要だ。それはメディアのひとつの役割と言えるだろう。しかし、発言者を伏せたコメントを元に「大きな溝」「冷戦状態」と印象論で片付ける手口はまるでゴシップ紙のようで、真っ当な敗因分析記事とは呼べない。
このような記事の書き方に対し、僕はサポーターとして憤りを感じている。サッカー界を共に盛り上げていく役割を担うべきスポーツメディアとは到底思えない。記事の執筆担当を「特別取材班」と記して、実名を出さないところも卑怯だ。
世界大会で優勝1回、準優勝2回を誇るなでしこジャパンに対するリスペクトはないのか? 5年間続いた「なでしこブーム」に便乗するだけ便乗しておいて、落ち目が来たら使い捨てるその態度は、ジャーナリズム以前の問題として、人としてどうかと思う。
采配や戦術、強化方針などをテーマにした然るべき批判ならともかく、過激な釣りタイトルとソース不明の印象論で酷評するやり方は、ウェブ記事のページビューが稼げれば何でもいいのか? と勘ぐってしまう。
現場の記者に提言する その報道姿勢は経営理念に基づいているのか自問自答せよ
単にサポーターとしての愚痴を羅列するだけでは、ゴシップ記事を書く記者と同レベルなので、ここで僕はひとつ提言をしたい。
僕の本業は経営コンサルタントである。クライアント先では、判断に迷った時にはプロジェクトの目的、更に言えば企業の経営理念に立ち返れと常日頃説いている。
スポニチの企業理念の一部をここに引用する。
個人を攻撃するような記事を予選期間中に出すことは、果たして「スポーツなどの文化の創造と発展に寄与」しているのだろうか? 答えは自明だろう。
サッカーに関わるメディアには是非、「日本サッカーを強くする」理念を持って、報道に真摯に取り組んでほしいと思う。日本サッカーがより高みを目指すためには、選手、協会、サポーターのみならず、メディアも同じベクトルを向く必要がある。
今回はスポニチを例にしたが、その他のスポーツメディアにも是非、経営理念や社是に立ち返って、改めて何のための報道なのかを見つめ直してほしい。「売上至上主義」のデスクの指示に従うだけが仕事ではないはずだ。
現場の記者には、フットボールファミリーの一員として、日本サッカー界の発展に自ら寄与する覚悟を持って、取材に取り組んでほしいと願うばかりだ。