天の川銀河中心部の最新画像!最強の宇宙望遠鏡「ジェイムズウェッブ」が撮影
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「JWSTが撮影した最新の天の川中心部の画像と、新発見の構造」というテーマで動画をお送りします。
ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope,JWST)は、現在の人類が持つ最強の観測性能を誇る宇宙望遠鏡です。
主に赤外線に分類される波長の電磁波を観測します。
ハッブル宇宙望遠鏡は高度約570kmを周回し、そこから宇宙を観測しているのに対し、JWSTは地球から150万kmほど離れた、太陽-地球系の「ラグランジュ点2(L2)」というところから観測を行います。
●JWSTが撮影した最新画像
そんな中、JWSTが天の川銀河中心部からやってくる赤外線を観測し、そこで得られた画像データが2023年11月20日に公開されました。
圧倒的な解像度により、これまで知られていなかった未知の構造も発見されています。
私たちの目には見えない赤外線を撮影しているので、その波長や強度に応じて、可視光で着色して画像化されています。
JWSTが観測したのは、天の川銀河中心部の中でも「いて座C」と呼ばれる領域です。
天の川銀河中心にある太陽の430万倍の質量を持つ超大質量ブラックホール「いて座A*」が存在する場所から、わずか300光年ほどしか離れていない、まさに銀河の中心部にあたります。
いて座Cを含む銀河の中心部は、地球からは25000光年ほど離れた非常に遠い場所ですが、JWSTの観測性能をもってすれば、個々の星々の性質すら見分けることが可能です。
実際に画像内に約50万個の星々が写りこんでいます。
○JWSTが明らかにした詳細な構造
続いて併せて公開されていた注釈付きの最新画像で、より詳細な構造まで見ていきましょう。
まず画像の中心部やや左に、焚火のように明るく輝くガスが噴き出ている場所があります。
ここにはまだ形成途中で、質量が増加している段階の恒星である「原始星」の星団が存在していると考えられています。
そしてこの星団の中心には、形成途中の現時点で既に太陽の約32倍の質量を持つ超大質量の原始星が存在していることが知られています。
以前、巨大な電波望遠鏡群であるアルマ望遠鏡により、太陽の32倍の質量を持つ巨大原始星を取り囲む、太陽の数倍の質量を持ち、直径が約4000天文単位にもなる巨大な降着円盤が発見されたこともあります。
原始星の星団の背後とその上部には、広大な範囲にわたって周囲よりも星々が少なく見える暗い領域が広がっています。
実はこの領域は低温の水素ガスである「分子雲」の密度が非常に高く、背後にある星からの光が地球に届かないため暗く見えています。
一見低密度な印象を受けますが、実際には画像の中で最も高密度な領域の一つです。
黄緑色の点線で囲まれた分子雲は、さらに小さいものも存在しています。
これらの分子雲では重力の作用でより高密度で分子雲が集まり、将来的に高温高密度で核融合反応が始まると、新たな恒星の一生が始まります。
巨大な分子雲の下部には、こちらも広大な範囲にわたって水色で示された領域が広がります。
これは大質量星からの強烈な紫外線放射によって水素ガスが電離し、そこから赤外線が放射されるためこのように写っています。
これだけ広範囲にわたって電離した水素ガスが広がっている理由は不明で、さらなる調査が必要とされます。
さらに電離した水素ガスの中には、針のような未知の直線上の構造も見られています。
このような極端に高密度な領域をより詳細に調べることで、星形成のプロセスや、周囲へ大きな影響を与える超大質量星の特徴についての詳しい理解が得られることが期待されています。
天の川銀河中心部は、銀河の中心部のような非常に高密度な領域の中でも、地球からの距離が極めて近い場所です。
この領域は今後も盛んに研究が行われるはずなので、新発見に期待しましょう。
天の川銀河中心部は非常に観測対象として優れていますが、高密度に物質が存在しすぎて、その背後からやってきた電磁波が遮断されてしまいます。
そのため天の川銀河中心部の背後の宇宙の観測は非常に困難であり、その領域は現在でも謎だらけです。
そんな中比較的最近、未知の天の川の背後の領域で巨大構造が発見されたと話題になっていたので、そちらも紹介していきます。