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最難関な最下層の1度の誤差 もう一度雪が交じる可能性も

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
みぞれや雪となった関東地方(ウェザーマップ)

最難関な最下層の1度の誤差

上空500メートル付近の寒気の予想と実況(ウェザーマップ)
上空500メートル付近の寒気の予想と実況(ウェザーマップ)

きょう22日(火)は、南の海上にある低気圧や寒気の影響で、関東甲信地方の山沿いでは雪となり、また日中にかけては、予想以上に気温が下がったため、平野部でもみぞれや雪となった所が多くなりました。

気象庁からはきょう昼前、急遽、関東甲信地方に大雪に関する情報が発表され、また昼過ぎには東京地方にも大雪に関する情報が発表されました。積雪とはならない見込みと発表されていた23区でも降雪量1センチなどの情報が出されました。

なぜ予想よりも雪が降る方向へ変わってしまったのか、関東平野の降雪と密接な関係のある上空500メートル付近(最下層)の寒気の予想と実況をみてみましょう。

上図上段の1日前(きのう)の予想では、関東平野に0度以下の寒気が大きく流れ込み、中心付近は-1度程度で、これでも雨に雪が交じる可能性は十分ある計算と言えます。ところが実際は、下段の実況解析にあるように、-1度以下の寒気が大きく流れ込み、中心は-2度以下で、午後3時には都心あたりまでくさび状に流れ込んでいる様子が分かります。

予想と実況の誤差はわずか1度程度ですから、ほとんど差がないようにも感じられますが、『たかが1度されど1度』で、この1度の誤差により、雨よりだった予想が雪よりの実況に変わってしまったのです。

今の技術をもってしても、この最難関な最下層の1度の誤差を埋めることはなかなか出来ず、この冬季も関東平野の雪予想はこの1度の誤差にしてやられた感じです。

関東平野でもう一度雪が交じる?

雨や雪の予想(ウェザーマップ)
雨や雪の予想(ウェザーマップ)

関東で降っている冷たい雨や雪は今夜には止みますが、もう一度弱いながら冷たい雨やみぞれの降るタイミングがありそうで、それがあす23日(水)夜遅くからあさって24日(木)朝にかけてとなります。

上図は降水がピークとなるあさって24日(木)明け方の午前4時頃の予想ですが、山沿いでは雪、東京都心を含め、平野部では多くの所が冷たい雨の予想です。

ただ今回のように最下層の気温が1度でも下がれば、再び平野部でも雪が交じる可能性が考えられますが、降水量は少ないとみられるため、平野部で雪が積もるようなことはないのではないかと思われます。

最下層寒気は?

上空500メートル付近の寒気予想(ウェザーマップ)
上空500メートル付近の寒気予想(ウェザーマップ)

24日(木)午前3時と午前6時の最下層寒気の予想をみると、最も注目する青い領域の0度線は北部山沿いが中心で、関東平野へは流れ込まない計算です。

ただこの予想よりまた1度でも寒気が強まれば、都心あたりまで0度以下となり、降水現象が明け方ということもあって、再び冷たい雨に雪が交じるようなことも想定内です。

なおこの降水現象のあとは、ようやく寒の戻りは終息し、週末にかけて、日に日に気温は上昇する見込みです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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